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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第八章 損益計算書の読み方(3) 損と益の境目を読み解く

物々交換と現代の市場経済

幼いころ、「まんが日本昔話」が好きだった。ふと読み返してみると、なかなか楽しめる話が多い。特に民話や風土記、古事記、日本書記をルーツに持つ昔話は、暦史好きには興味深いものばかりである。そのひとつに「わらしべ長者」がある。あらすじはこうだ。  
うだつの上がらない貧しい男が、観音さまにすがり願掛けをする。すると観音さまは、早速お告げをくれた。お堂を出て初めて手にしたものを持ち、旅に出るようにと。男はお堂を出たとたんにき、一本のを手にしてしまう。ついていないと思いながらも、お告げを守り歩き始める。退屈しのぎに、アブを藁にしばり歩くと、泣き止まない赤ん坊と母親に出くわす。藁アブで遊んであげると泣き止むのでプレゼントすると、お礼に母親からミカンをもらう。男は少し歩き、休憩にミカンを食べようとした。そこに品の良い娘が、渇水で苦しんでいた。男はミカンを差し出すと、お礼に絹の反物をくれた。男は上機嫌になったが、しばらく歩くと強引な男に、反物と倒れた馬を交換されてしまう。落胆したが、馬を介抱した。馬は元気になり、一緒に城下町にたどり着く。するとひとりの長者(資産があって徳をそなえた者の意)が馬を気に入り、千両で買うと言う。びっくりした男は気絶すると、その長者の娘が介抱してくれた。それはミカンをあげた娘であった。男は娘と結婚し、大長者になった。
この話が伝えているのは、需要と供給が成り立つと、貨幣価値の異なるものでも物々交換ができるということである。藁アブ→ミカン→反物→馬→娘→長者に。男が心優しい人柄であったことが、長者となれた最大の要因と思われるが、貨幣制度に基づく市場経済では、貨幣価値の違う交換はほぼあり得ない。したたかな経営を目指すために貸借対照表や損益計算書を解説する私にとっては、現実とかけ離れ過ぎているこの話が逆にとても面白いのである。

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