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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第八章 損益計算書の読み方(3) 損と益の境目を読み解く


この例では、固定費は50万円、変動費は18万円である。

【STEP2:4つの数値の算出】
損益分岐点分析で、採算ラインの算出に必要な数値が4つある。これらの数値を導くため、公式に当てはめながら、算出していく。
1つ目は「変動費」。変動費は先に分類したとおり、18万円である。2つ目は「変動費率」である。変動費の割合のことで、売上高に占める変動費の割合を示す。今回の例題では、変動費率は20%となり、逆に固定費率は80%となる。
3つ目は「損益分岐点」で、最低限必要な売上高である。固定費50万円と変動比率20%から計算すると、62.5万円が損益分岐点として算出される。
さらに、現在の売上高と損益分岐点から4つ目の「分岐点安全度」を求めることができる。この数値は高い方がよい。採算ラインギリギリの売上高に対して、どれだけ余剰の売上高があるかを示しているからである。例題では30.6%である。
近年は表計算ソフトが賢いので、上手に使うことをお勧めする。ここまでの流れが下ごしらえである。 

【STEP3:損益分岐点図】
分析に欠かせないのがグラフである。ここまでに求めた数値をもとに売上高と固定費、総費用をシミュレーションしたものである。表より図に示したほうがわかりやすいので、作図のやり方を説明していく。
まず、表を整理する。現在の売上高を入力し、その前後に0から切りのよい間隔で、現在の売上高を3割ほど超える金額まで並べていく。次に固定費は変わらないので、「50万円」をずらりと書き並べる。さらに、次の列に売上高と変動費率から求めた変動費と固定費を合算する計算式で、売上高ごとに総費用を求める。こうして、現時点の損益計算から売上高と固定費、総費用のシミュレーション値が導かれる。
次にこれらの数値を図示していこう。折れ線グラフにすると(1)売上高線、(2)総費用線、(3)固定費線の3本の直線が表示される。縦横軸ともに金額の目盛りを同じピッチでそろえ、正方形のマスになるように整えると見やすくなる。
このグラフを利益図表または損益分岐点図と呼ぶ。売上高線と総費用線が交差する点が損益分岐点である。現在の売上高と損益分岐点の最低限必要な売上高の差が分岐点安全度を表す。表の最右列に利益も計算して追記し、見やすくしておこう。これで採算ラインを読み解く材料がそろったことになる。

採算ラインを読み解く

損益分岐点の基本と算出の仕方を押さえたところで、事例の損益計算書から、採算ラインを読み解いてみよう。図4に経営事例の分析事例を示した。
前提条件として、売上高の増減の要素は、販売量または販売単価の増減だけを考える。面積の増減や追加投資がある場合は、変動費への案分割合の変更、固定費の再計算が必要となるので注意してほしい。

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