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岡本信一の科学する農業

土壌硬度分布を知り圃場の状態を把握する


土質にはさまざまな分類があるが、どのように細分化しても正確に圃場の状態を表すことはできない。また、かなり土質を正確に把握できたとしても、作物にどのような影響を与えるかを知ることは難しい。
そういったことを考えると、土壌硬度を測定したうえで、さらに土質を加味するということは無意味ということになる。

土壌硬度分布が同じなら
異なる土質でも結果は同じ

これを逆転させて考えると、実は全く違う土質でも土壌の物理的特性(土壌硬度分布)が似ていれば似たような生育を示すということにもなる。これは仮説などではなく、私が実際に各地の圃場を調査して得た事実である。
土質というのは、先にも書いたが土壌鉱物の含有割合を示したもので、一般的には土壌の物理性に最も大きな影響を与えているものと考えられている。大筋では間違いでないと思うが、それはあくまでも人間が手を加えていない、自然の状態ではそうなるはずということにすぎない。ところが、土地を圃場として使い始めて人が手を加えた段階で、土壌は元の性質をどんどん変化させている。
深耕が可能になった昨今の機材の影響もあり、おそらく元の性質を根本的に変えてしまった土壌もあるだろう。実際に、私も重粘土土壌を客土せずに、排水がよく出来のよい土壌に変えてしまった例も見ている。
もちろん、費用対効果を考えながら行なう必要があるのだが、土壌硬度分布を含む何らかの客観的な指標を利用することで、耕作に適さない場所でも案外簡単にそこそこの改良が可能になることは予想し得る。

曖昧な言葉でなく
土の状態を数値で把握

では、もともとの土壌の性質は、耕作によってどのように変化させていくことができるのだろうか。
以下は綿密な計測ができているわけではないので、今のところあくまで聞き取りや感覚的なものにすぎないが、あえて指摘しておく。
やはり、有機物の量というのが最も土壌硬度分布を変えるためには重要であるように思われる。そして、同じく重要なのは耕起方法だ。
前回までの費用対効果に関係してくるのだが、目に見えない形であったとしても、有機物の投入というのは長年にわたれば大きな効果を及ぼし、土壌の性質そのものすら変えてしまうのである。
耕起や有機物の投入は、おそらく土壌中の微生物叢に大きな影響を与えている。たとえば、深耕して下層土が表面に出て、それらがやがてポロポロとした状態になるのを、多くの人は乾燥のためだと考える。しかし、下層土であったときには嫌気性菌が優勢であったものが、表面に移動され空気にさらされたことで、つまり酸素が供給されたことで、好気性菌が増殖し、それによって物理的な性質が変わったとも考えられる。

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