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新・農業経営者ルポ

ブルーベリーから人の輪が広がる50歳で叶えた観光農園オーナーの夢

生産物だけが商品なのではない。農業においても「体験」や「環境」が注目されるようになった。生産者とお客が直にふれあう。そこでは品質とともにコミュニケーションが商品の魅力を際立たせる。まだ珍しい果樹のポット栽培を引っ提げ、ブルーベリーの観光農園に参入して2年目。三重県四日市市・山原忠彦の「夢のかたち」を追った。 文 加藤祐子/写真 山原忠彦・加藤祐子・昆吉則

晴れて開園したブルーベリーの観光農園

「50歳を機にブルーベリーの観光農園を始めようと思っているんだ」
山原忠彦からその話を聞いたのは2012年の冬だった。60歳になるまでの10年で軌道に乗せて、そこからはボチボチやれたら。自宅前のキャベツ畑を指さして、これから始まる挑戦を嬉しそうに話していた。
12年夏にブルーベリー園の施工に着手し、翌13年に2年生苗を定植。準備は順調に進み、14年6月にプレオープン。10日間の営業で、のべ400人が来園し、幸先の良いスタートを切った。そして今年の6月、満を持して「さくらベリーズガーデン」は本格的な営業シーズンを迎えた。
「観光農園は入ってもらったときのイメージが大事でしょう。いろんな人からアドバイスをもらって、入口から見たときに遠近法で広く見えるように造成の段階から傾斜をつけて、レイアウトにもこだわりました」
自作地のなかで好条件だった県道に面した0.7ha区画のかつてのキャベツ畑は、0.5haのブルーベリーの観光農園と来客者用駐車場に姿を変えた。園内には62品種、約900個のブルーベリーの溶液栽培ポットが並ぶ。愛知や滋賀のブルーベリー園を食べ歩いたり、インターネットや経験者から情報を集めたり、オーナー自らの味覚で甘くて大粒の品種を選び抜いた。6月初旬~8月中旬までの2カ月間、常時15種類ほどの完熟ブルーベリーを楽しめる。全面にシートを敷き、来園者が足元を汚さずにゆったり過ごせるように、さらには車いすのお客様にも来園いただける環境を整えた。

専業農家を継ぐのは長男ゆえの既定路線

さくらベリーズガーデンの名称は三重県四日市市桜町の地名に由来する。伊勢湾に面した日本有数の工業地帯を有する四日市市は、人口31万人余りの大都市である。市街地から西へ車を走らせ木々の茂るトンネルをくぐり抜けると、滋賀県との境に連なる山々が遠くに見えるエリアに至る。標高は120mほど。ここで山原は農業を営んできた。
キャベツや白菜、ジャガイモなどの露地野菜が中心の経営だ。この辺りの土壌は赤土でジャガイモやカブ、ダイコンなどのいわゆる「土もの野菜」の市場での評価は高い。主に農協を通して愛知・岐阜・三重の東海地方、遠くは関東横浜、大阪・京都などの市場に出荷してきた。

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