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それでも、同園では贈答文化の衰えが売り上げに多少響いているという。そこで今後は、インターネットでの販売の強化を視野に入れているそうだ。
【農作業はいかに“手抜き”をするか】
「いいものを少し」と言う保さんは、生産のやり方も変えるべきだと考えている。
「高齢化というのは生産と消費の両方の問題があるよね。生産する側からいうと、何をやるかではなく、何をやらないかだな。いかに手抜きをするか。これまでは何をやるかの時代だったけど、これからは何をやらないかだね」
保さんは、たとえば剪定は以前よりも手抜きしているという。
「剪定というのは大きさや収量をコントロールするためであって、味には関係ないからね。うちみたいに味で勝負している農家にとってみれば大事な作業ではない。味に大事なのは地力、土質だよね。それから何よりも間伐。間伐するのは勇気が要るから、なかなか農家はできないよね。とにかくいままで大事だと思っていた作業が大事でなくなっている。それを見極めることが肝心だね」
(窪田新之助)
商品の多様化と、充実した観光農園のサービスで顧客の心をつかむ
高齢化の問題に話が及ぶと、玉手博章さんも「困った、困った」と繰り返す。しかし、困った状況は発想したり行動を起こしたりするバネになっているようだ。そもそも玉手さんがキタアカリを手がけたのは、ジャガイモシストセンチュウ(以下、シストセンチュウ)に悩まされたことがきっかけだった。
「ジャガイモ農家としては、息が止まりそうなほど追いつめられていました。新しい品種はシストセンチュウに抵抗性があり、疫病に関しても改善しているものもあります。窒素肥料も2割ほど少ない量で生産できたりします。ですから、どうしてもそういった新しい品種を作りたかったんです」
ジャガイモといえば男爵薯という時代が続くなか、玉手さんは1985年、いち早くキタアカリの生産を始めた。キタアカリは煮崩れするという声もあったが、「これまでの半分の加熱時間で済む」とうたって売り出し、地位を固めた。このキタアカリの登場は、日本の市場でジャガイモの品種が多様化する一つのきっかけになったといっても過言ではない。
キタアカリの宅配事業は、2000年ごろから口コミの効果で急激に成長した。まさに順風満帆な時期が続いていたといえる。
【高齢化によって宅配1件当たりの注文量が減る】
しかし、5年ほど前から玉手さんの事業にも高齢化の波が押し寄せてきた。
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