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特集

消費構造の変化に伴う 宅配ビジネスのいま


また、ほかの作物の宅配の方法も、顧客の視点でサービスを始めた。
キタアカリのほか、スイートコーンの「味来」や豆類も宅配してきたが、新たな商品も加えた。その一つが、ジャガイモの宅配の箱に手数料100円でカボチャを1個加えるサービスだ。これにはさっそく反応があり、キタアカリだけの商品より、カボチャ入りの商品のほうが注文の数が多いという。
このほか、キタアカリの顧客からの要望が多かったタマネギも一昨年から宅配の商品に加えた。さらに、ジャガイモのトヨシロを道内の加工会社でポテトチップに加工してもらい、ケース単位で販売する予定だ。
こうして提供する商品をバラエティ豊かにすることによって、従来顧客のサービスに力を入れている。

【観光農園で宅配の新たな固定客を取り入れる】

玉手さんは、観光農園の事業を本格化し、積極的に観光客を受け入れている。観光客が、宅配の次世代の顧客になってくれることを期待してのことだ。
「観光農園の運営は手間もコストもかかり、単価も高くないのでそれほど利益になりません。でも、目先の利益を追うのではなく、長い目で見ることが必要だと思います。実際、観光客の1割が固定客になってくれます。1割というのは経営上、良い数字だと思っています」
玉手さんは約20年前から修学旅行生の農場見学を、2000年ごろからは観光客も受け入れはじめた。北海道の観光ツアーのプログラムの一つとして、留寿都村にあるルスツリゾートから提案されたことがきっかけだ。
観光農園のサービス内容はこうだ。団体は50分間、個人客は1時間半のコース。ジャガイモの収穫体験、パンやピザづくり、ジャガイモ料理の試食、生で食べられるスイートコーンやトマトの試食、農業やキタアカリについてのガイダンス、看板娘役のウサギとのふれあいなどのプログラムを提供している。ジャガイモを移植栽培しているため、7月中旬から収穫体験を提供できることが玉手さんの農園の魅力でもある。
当初は観光客の数は少なかったが、現在は7月中旬から8月末までの期間中、毎日のように予約が入っている。ツアーバスの団体客とそのほかの個人客を合わせると、延べ300組の家族が訪れる。その多くが小学生前後の子どもがいる家族で、次世代の顧客になってもらうのにはありがたい存在である。リピーターも多く、今年で4回目という家族も2組いたという。
「新たに固定客になってもらうためには、観光客に深い印象を与えることが大切だと思っています。少し変わったジャガイモ料理や、生で食べると甘みを強く感じるスイートコーンの味来、息子の敏章が作っているトマトなどを試食してもらうのはそのためです。ポテトチップはおみやげとして渡しています。旅の思い出にしてほしいですね」

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