ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

消費構造の変化に伴う 宅配ビジネスのいま


玉手さんの発想は柔軟だ。しかも、その発想は生産から販売、観光農園のサービスまで一連の経営計画に基づいている。今後も変化しつづける社会や市場にも対応していくうえで、その柔軟性が力になっていくだろう。        (平井ゆか)

“きちんとした”リンゴを作れば、売り方はどうにでもなる

【楽天市場での販売比率が4分の1】

「販売先の比率は、宅配が5割、小売店・卸が4割、市場が1割くらいですね。去年はJAには出荷しませんでした。うち、宅配が微増というレベルで伸びていて、その半分はインターネット通販の楽天市場が占めます」
ネット通販といえば、利用者からすると手軽で便利なものだが、出店者の立場ではそう安易に取り組めるものではない。そこには競争が待ち受けている。農産物の販売も例外ではないようだ。
「リンゴのネット通販なんて珍しいものでもありません。シェア争いですよ。出店にあたっては月々の出店料がかかります。そのうえで我々のようなリンゴ農家や販売業者が入り乱れてしのぎを削っている状況ですね。でも、10年ほど前から参入している我々はそこで一定の地位を築けています。それは食味がリピーターに評価されているからだと思いますね」
平井秀樹さんは、就農当初から直売を柱に掲げ、差別化を図るためのリンゴづくりに励んできた。青森県特別栽培農産物の認証や同県エコファーマーの認定はその一環だが、平井さんはそれらの基準を最低限と捉え、さらに厳しい段階に身を置いている。
「環境保全型農業をうたっていますからね。農薬は慣行の5割以下でいいところを4分の1以下にしていて、きつい薬剤もなるべく使わないようにしています。回数にだけ縛られているわけではないということですね。肥料にしても化学肥料はまったく使っていません。堆肥やぼかし肥料、フェロモンの撹乱(かくらん)剤などを用いながら、天敵昆虫を増やしておいて園地に害虫がいてもリンゴは食われないような環境を目指しています。管理はさすがに大変ですけどね(笑)。もう一つ、大きなポイントとしては極力完熟に近いところまで持っていってから収穫するということです。周りでは8月から早もぎで市場に出荷して結構いい値段でお金にしていますけど、我々のところでは一切それはしません。金星という数ある品種のなかで最後に収穫するものがあるんですけど、去年なんかは11月20日を過ぎても本来の糖度が乗ってきませんでした。それで収穫を控えていたところ、12月に入る直前に雪が降るという天気予報が出たんです。そのときに糖度計で調べてみたらようやく本来の糖度が乗っていた。そこから慌てて収穫したなんてことがありましたよ。ちなみに、リンゴに袋をかけたり、葉っぱを取ったりもしないで、より自然な状態で生育させています」

関連記事

powered by weblio