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顧客に喜ばれる麦・大豆づくり

三重県産小粒大豆「すずおとめ」地産地消のかたち



自ら生産した大豆の商品が地元に並ぶという喜び

地産地消型の納豆づくりに賛同した生産者も、この取り組みに期待を寄せている。菰野町の伊藤氏はJAから契約栽培の提案を受け、02年から「すずおとめ」の生産を始めた。
「小杉食品が地産地消の納豆に三重県の大豆を使いたいと言っている話を聞いたとき、こりゃ面白そうだと思いました」
23haの水田経営は主にコメ・麦・大豆の2年3作の輪作体系で、大豆はそれまでフクユタカのみを生産し、JAに出荷していた。フクユタカより収量が少ない品種という前評判に不安を抱いた伊藤氏だったが、実際に作付けしてみると、気にするほど収量減にはならなかった。14年度産の収量は約140kg/10a、14tを出荷した。
播種は、すずおとめが6月末から、フクユタカは7月10日ごろからと時期がずれ、収穫も「すずおとめ」は11月初旬、フクユタカは11月下旬ころになる。作業時期が異なることでより面積を拡大できるメリットがある。他方、すずおとめは莢(さや)離れが悪いため、コンバインや自前の選別機の調整が必要となる。播種後の成長が遅い傾向にあり、放っておくと雑草が増えてしまうため、初期の除草対策には気を遣う。品種特性を理解すれば解決できるだけに、伊藤氏は栽培管理の違いを特に気にすることはないと話している。
何よりも、生産者のやる気を支えているのは、自分のつくった大豆が納豆になって店頭に並ぶということである。その喜びを伊藤氏はこう語ってくれた。
「すずおとめの納豆が発売されて、実際に近くのスーパーに並んでいるのを見たときは驚きを感じました。自分の大豆だとわかるなんて、今までなかったことですから。発売された当初は特に、近所の人たちから『これ、あんたがつくってるんだね。ちょっと高いけど買ったわ』と言われました。あ、これが地産地消なんだなと」
ここ数年は、気候変動の影響と見られる日照不足や、気温上昇によって北上してきたカメムシの被害が増え、一昨年は収量が例年に比べて半減した。
そんななか、小杉食品の小杉氏やJAみえきたの担当者、堀雄紀氏(30)も足しげく圃場に通い、頻繁にコミュニケーションをとって栽培管理に努めている。
「圃場の近くに車が停まっているので誰かなと思うと、小杉食品の社長なんです。小杉社長自らしょっちゅう圃場を見に来てくれますよ」
播種前の会議では、契約内容を確認するだけでなく、納豆の販売状況や今後の計画についても情報共有している。ここ3年は、すずおとめより収量の高い後継品種の検討会を開いたり納豆の試食会を開いたりしている。

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