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顧客に喜ばれる麦・大豆づくり

三重県産小粒大豆「すずおとめ」地産地消のかたち



生協からの声かけで「非常識」な大粒大豆も

すずおとめの納豆を始めてからしばらくたった08年ごろ、「NPO地産地消ネットワークみえ」と生協から小杉食品に、三重県産のフクユタカでも納豆をつくらないかと声がかかった。フクユタカはタンパク質が多く、豆腐用の大豆として需要が高い品種だが、納豆には北海道産のような糖質の多い大豆が向いていると言われている。そのため、小杉氏も当初は提案を断わっていたが、周囲の期待に押されるようにフクユタカを使用した納豆の生産に踏み切った。
全国の大豆生産量の約30%を占めるフクユタカ。商品として特徴を出すため、三重県産の特別栽培で生産されたフクユタカに限定することになった。集めたフクユタカは約20t。商品化を進めた生協では「国産の大粒カップ納豆」を、他のスーパーではパッケージを変えて「福豊納豆」として発売した。
こうして「鈴乙女納豆」と、特別栽培の「福豊納豆」との大粒小粒の三重県産大豆の納豆がそろった。これらの地産地消の商品は工場見学に来る子どもたちにも紹介している。
「小学校3年生の国語の教科書(光村図書)に、『すがたをかえる大豆』という教材があります。子どもたちが工場見学に来た際には、地元の大豆を使っていることを知ってほしいと思っています。これは次世代のファンづくりの一環でもあります」
三重県で動き始めた地産地消の納豆づくりは、小杉食品を中心に、伊藤氏ら大豆生産者、JA、問屋、生協やスーパー、地元の消費者、NPO、学校まで、糸で絡めるように地元の人々をつなげている。

納豆づくりと大豆の品質の関わり

納豆は、糖分の高い大豆を使ったほうがおいしいとされている。この糖分など大豆の味をうまく引き出すために、大豆の品種ごと、気温などによって製造工程を調整する。
また、納豆は見た目が商品として重要な要素になる。大豆の姿がそのまま商品に表れるため、見た目が重視されるのだ。被害粒、石豆、割豆、汚粒、未熟粒などはJAで選別されるが、小杉食品の場合は念のため、問屋で再度選別をした大豆を仕入れている。
それでも紛れ込んで問題になるのが裂皮だという。裂皮があると、浸漬の段階で大豆の皮が剥け、見た目が悪くなるうえ、養分が外に流れ出し、味が悪くなる。裂皮は大豆の品種特性にもよるが、高い水分状態で収穫したあとの急激な乾燥が原因とされている。豆腐の場合は問題にならないが、納豆の場合は大きな問題になる。

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