記事閲覧
【土門「辛」聞】
1県1農協「JAしまね」に農業振興策は期待薄。貯金集めと共済重視で競争を怠ってきたツケ
- 土門剛
- 第132回 2015年09月04日
- この記事をPDFで読む
島根県内の11農協が「1県1農協」を決議したのは、2006年の県農協大会だった。10年近い準備期間をかけて、政府が農協改革案を閣議決定する1カ月前というタイミングでの合併のお披露目は、多分に政治的な思惑があったかもしれない。
新たに誕生した「JAしまね」は、組合員に占める准組合員の比率が、全国5位の69.9%。地方の農協にしては准組合員の比率が高すぎる。上には、大阪(80.8%)、北海道(80.3%)、神奈川(79.3%)、東京(78.3%)がある(いずれも農水省作成の総合農協統計表13年度版)。農地の少ない大都市圏に准組合員が多いというのはわかるが、意外なのは北海道。面積が広く、町から外れると金融機関は郵便局と農協しかないという事情もある。
JAしまねにも事情がある。全県で多いというのではない。いまは出雲地区本部と呼ぶ県央部にある旧JAいずもが突出して多いことだ。組合員6万6000人のうち、准組合員は5万3000人。その比率は80.8%。その数は出雲市の人口(約17万人)の3分の1近くに匹敵する。とにかく大都市圏の農協並みの准組合員比率とは驚かされる。なお島根県全体の准組合員の3分の1も、この出雲地区本部の分。早くから農家や農業だけに頼らぬ経営方針を貫いてきたことの裏返しとなる数字だ。
JAしまねにも事情がある。全県で多いというのではない。いまは出雲地区本部と呼ぶ県央部にある旧JAいずもが突出して多いことだ。組合員6万6000人のうち、准組合員は5万3000人。その比率は80.8%。その数は出雲市の人口(約17万人)の3分の1近くに匹敵する。とにかく大都市圏の農協並みの准組合員比率とは驚かされる。なお島根県全体の准組合員の3分の1も、この出雲地区本部の分。早くから農家や農業だけに頼らぬ経営方針を貫いてきたことの裏返しとなる数字だ。
会員の方はここからログイン
土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)