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特集

消費から見た日本農業の可能性


【外国人観光客の増加と超高齢化はチャンス】

一方、日本を訪れる外国人観光客の数は14年1年間で1341万人だったが、日本政府観光局によれば9月段階で昨年を超える外国人観光客が日本を訪れるという。東京オリンピックに向けてさらに急増していくだろう。人口減少や超高齢化の中で我々には大きなチャンスが与えられているのだ。農産物輸出の増大を語るより前に急増する外国人観光客を頭に置き、彼らの日本国内での消費に期待し、さらにその消費体験をベースにした輸出戦略ともなるであろう戦略こそ考えるべきなのだ。
それでは「食のジャポニズム」とは何か。よく言われる「日本食」を、懐石料理を筆頭にした寿司や天ぷらといった外国人にもよく知られた「日本料理」だけをイメージする必要はない。我々日本人にはもっと多くの日常的な総菜や料理があるはずだ。
たとえば「とんかつ」はフランス料理の「カツレツ」をもとにしながらも、日本人ならではのキャベツの千切りとおいしいご飯がセットになっている。コロッケもそうだ。これも「洋食」の一つだが日本独特のもの。中華、フレンチ、イタリアン等々、日本人はさまざまな海外の食文化を「日本化」してきた。それこそが食のジャポニズムとして訪日外国人を通して認識させることができないだろうか。

【成長の鍵は加工メーカーとの協力】

「ゆめちから」という国産小麦を使った食パンが全国各地のスーパーで売られるようになっている。しかし、北海道の農家からは「作ったけど、言うほど買ってもらえない」などとぼやきの声を聞く。でも、せっかくつかんだそのマーケットチャンスに対してその品質を高め、より低コス トにそれを生産する努力をどれだけしてきたのか。さらに以前、筆者は冷凍コロッケメーカーの意向を受けてでん粉ジャガイモ産地の農業経営者や農協を訪ね、栽培管理レベルを上げて冷凍コロッケ需要に応えようと呼びかけたことがある。しかし、折悪しく畑作物に対する直接支払いが始まり、でん粉ジャガイモもその対象となった時期と重なり産地の人々の反応は鈍かった。
メーカーは国内マーケットの需要が増加しているだけでなく、原料不足から大きな市場として期待できる中国向けに取り組むことができないでいた。メーカーだけでなく日本農業の大きな可能性を生産者自身がつぶしていると感じた。中国全土に展開するようになったコンビニの店先で、フライヤーで揚げれば提供できる日本産のジャガイモで作られたコロッケは中国人に支持されるはず。中国に日本のコロッケという食文化も店先で提供できるファーストフーズも存在しないのだ。

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