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特集

消費から見た日本農業の可能性



【面白いことをやる】

成田重行 それでは私のバックグラウンドをまず話します。社会への第一歩は、ホンダでした。(創業者の)本田宗一郎に会いたかったんですよ。当時は小さな会社だったから、おかげで本田さんからはいろいろな話を直接うかがえました。そのなかで学んだことがいくつもあります。ひとつは好きなことをやること。本田さんはガソリンのにおいとエンジンの音が大好きだった。本田さんがよく話していたのは、わしは小学校しか卒業していない。だから知識の分量でいったら、自分は3、君たちは1000だと。ただ3のほうが問題解決は早い。1000はあれこれ知識があるから時間ばかり食ってしまうとね。
もうひとつは人生は有期限なんだということ。最も仕事ができるのは20代から40代まで。それなのに会社や職場の環境が嫌だと言っていたらもったいない。そういうときこそ自分の本当に好きなことを思い切ってやりなさいと。人生訓を教わったのです。
昆 いい話ですね。
成田 30歳過ぎに、縁あって立石電機(現オムロン(株))に入社しました。オムロン定年後にどうしようか考えていたら、本田さんが「楽しいことをやらないといかん」と言っていたのを思い出したんです。それで人生の残り半分は小さいことの面白さとか美しさを追求しようと思ったんです。というのも、60歳までは日本や世界を舞台にオムロンをいかに大きくするかを追求してきた。だから後半からは逆に全国の小さい村を食によって元気づけていこうと。
そこで北はオホーツクから南は宮古島まで全国30カ所で地域開発の仕事をしてきました。当時事務所が新宿にあったので、足元の新宿でもと思い、そこで新宿のことを調べ始めたんです。

【地域を見る三つの視点】

昆 その土地の食をどうやって発掘するのですか。
成田 私はどの地域へ行っても初めに三つのことをやってます。一つは根っこ探し、つまり歴史と文化を探る。二つ目はその土地の一番高い場所に登ります。そこから地形学的に眺めると、その土地の生活や習慣がすぐにわかります。三番目はその土地の母ちゃんたちのごちそうをいただく。この三つの基本を行なうとその土地が深掘りでき、地域開発のヒントが出てきます。

【江戸時代にもあったマーケットインの発想】

昆 新宿では内藤とうがらしの普及をしていますね。その影響で私も自宅のベランダで作っています。内藤とうがらしはどうやって発掘されたんです?

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