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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第十章 貸借と損益の活かし方(1) 資本力と収益性を見る

耕し続けるための技術革新

隣国の軍事パレードの様子をテレビの映像で見た。感じ方はさまざまであろう。私は戦車や装甲車が、青、緑、赤などのトラクターだったらいいのになと率直に思った。食べ物を生産するからといって農業を必要以上に美化する気はないが、戦争の道具を作る資源や技能が高いのなら、もう少しは平和利用として農業生産に資本財を投じたらどうなのか。孔子の「衣食足りて礼節を知る」は、とても良い言葉に思う。
GPSの平和利用が始まり早20年。農業現場でも当然、実用段階に至っている。8月に開催された「雪国直播サミットin岩見沢」での実演会。企画段階からかかわったが、開催規模はもとより、GPS等の精密機器の活用事例も見ていただいた。GPSを兵器から農機へ。オペレーターが手放しでニコニコと手を振りながらトラクターが進行するのを見て、日本の農業は挑戦するチャンスにも恵まれているということを改めて感じた1日でもあった。
比較的に短期間で技術革新されることを、革命とも呼ぶことがある。定住と農耕が始まった紀元前の新石器革命。輪作や家畜による、地力増進と増産を同時に可能とした18世紀の農業革命。品種改良や化学資材の投入により、飛躍的に生産量増を遂げた20世紀の緑の革命。まだ現在進行中ではあるが、北海道岩見沢で確立した「乾田直播を活かした水田の輪作体系」、これも小さな革命なのかもしれない。
物質的に豊かな現代の経営者は、意気込みや能力、技術力を主観的に捉えるべきではなく、客観的に評価することが求められる。風水害や北国の冷害などの突発的な事態や、ときの景気にも経営結果が左右される。このような事態を克服していくためにも、日頃から財務状態を眺め、改善できる点を自ら見いだす。そして隙あらば挑戦し、耕し続けるための技術革新に迫る。そのためにも現状の経営を客観的に評価できる目を養おう。

財務2表は経営者の通信簿

しつこくなるが、財務2表のおさらいをしたい。売上高、費用、利益に関心の低い経営者はいない。損益計算書は1年間の経営活動の成果を示すもので、貸借対照表は投じた資本の内訳を表すものである。したがって、期首(前年の期末)と期末とを見比べることで、経営が好転したか悪化したか、利益がいくら生まれたかがわかる。利益に目が行きがちになるが、この2つの表は言わば経営者の通信簿であろう。
経営を見ることを難しく考えてはならない。まず、財務2表から資産、負債、資本、収益、費用、利益の6つの数字を拾い出してみよう(図1)。すでに異なる経営との比較や過去の自己の経営との照らし合わせをしてみただろうか。大項目の6つの数字は、大まかな経営の善し悪しを示してくれる、バロメーターだ。
引き続き、図2を眺めてみよう。期首・期末の貸借対照表と損益計算書が連動している。赤字経営と黒字経営の2つのケースを比べれば、財務2表と時間軸の関係を捉えられるはずである。

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