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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第十章 貸借と損益の活かし方(1) 資本力と収益性を見る


次の自己資本利益率は、自己資本の蓄積度合いと利益のバランスを見る項目である。この分析値も高いほうがよいが、総資本(軍資金)の調達における健全性を示す、自己資本比率と合わせて見なければ意味がない。負債による投資が多い場合は、数値が高くても改善が必要である。
この農場の自己資本比率は52.2%、自己資本利益率は4.3%である。次の投資は負債の償還が進むまで控えるか、利益をより高める対策を打つようにアドバイスされるだろう。
最後に固定資産利益率。固定資産を活用する割合の多い農業では、この比率はとくに重要な意味を持つ。簡単にいうと、農地やトラクターへの投資が利益をどのくらいもたらしているかを示すからだ。注意点が一つ。農地の所有が多いか、賃貸が多いか、これにより固定資産の大きさは異なる。賃貸が多い場合、賃借料は費用から除かれるため、利益が低くなる理屈を頭には置いておこう。
この農場では固定資産に5000万円の土地資産が計上されており、固定資産利益率は2.4%と低い。分母を機械器具と建物施設の合計にすると、利益率は6.1%となる。施設や機械を新規に投資する場合の参考とすべき項目である。
経営規模が大きくなると、自己資本か負債かを問わず、資金投入量に対して利益がいくら生み出されるかが重要となってくる。最後に紹介した機械・施設利益率を応用して、分子と分母に入れる数字を変えれば、より詳しく投資の成果を分析することも可能だ。
個々の経営形態によって資本に対する利益率は当然異なるものの、これからは農業経営であるからといって、特別に扱われる時代ではない。金融商品の見込まれる運用利益率を目標にすることで、一般企業に引けをとらない経営を目指すことができるだろう。農業経営でも、総資本利益率をより高めていかなければならないのである。

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