ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

乾燥野菜の進化形 チャンスをとらえるヒント集


一方、個人向けの商品を始めたのは1988年だった。キンピラゴボウやおからなど湯戻ししてフライパンでさっと調理するだけで食べられる総菜や、たき込みご飯の具材などである。
さらに力を入れ始めたのは2000年ごろ。「業務用を小袋に詰めて、小売店に売ってはどうか」と問屋が提案してきたことがきっかけとなった。ネギやダイコンの葉、コマツナ、タカナ、ホウレンソウ、ニンジン、レンコン、ゴボウなどである。
とくに「袋詰めキンピラゴボウ」では、すでに20年ほど前に特許も取得していた。
「あるもので総菜をつくり、小分けのパッケージに入れて販売しただけです。もともと乾物屋ですから、販売ルートを持っていたということが強みでマーケットにすんなり入れたと思います」
以来、個人向け商品は順調に定着してきた。とくに関東圏での売れ行きが大きい。
「関東では、量が多いお得感よりも『ちょうどよい量』が受け入れられる文化です。一家族の人数が減っているからでしょう」
さらに吉良氏はいま、学校給食や外食産業、中食産業への提案を試みている。

【震災によって変化した
個人マーケット認識】

吉良氏は、この数年で個人マーケットの様子が変わってきたと感じている。
「大きな変化は震災によるものです。非常食にいいねという声が聞かれます。私たちがとくに非常食にいいですよと言ったわけではありません。市場の認識が変わったのです」
また、昨今の気候変動による悪天候によって、野菜不足になることも多い。しかし、小売店では青果売り場の棚を空けるわけにいかない。そのため、青果の売り場にも水煮が置かれるようになった。その一部に、乾燥野菜も含まれているという。乾燥野菜はこれまでグロッサリーの売り場でしか取り扱われなかったため、この売り場転換によって来店客に乾燥野菜が認知されることにつながっているという。
「旬のおいしい野菜を知らないと私たちの乾燥野菜の良さもわかってもらえません。生鮮があるときはそちらを食べてもらい、ないときはこちらを食べてもらうのがいいですね」
吉良食品は、個人向け商品のマーケットを全国に持っている。輸送コストは乾燥野菜の場合、生野菜を輸送するのと比較してざっと10分の1で済む。輸送コストが上昇するほど、乾燥野菜は重宝されるというわけだ。

【地元調達・地元加工が
切り開く可能性】

現在、吉良食品が調達する野菜はほぼ100%契約栽培である。このなかには、キャベツなど青果市場に出荷するのと同じものだけでなく、乾燥野菜の加工専門のものもある。たとえば、自社農場で作るダイコンは根より葉を大きく繁らせ、しかも柔らかいものを作っている。葉を乾燥野菜として使うためだ。もうひとつは、青果市場に出荷できない規格外の根菜である。

関連記事

powered by weblio