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特集

乾燥野菜の進化形 チャンスをとらえるヒント集


今回の特集では、乾燥野菜の新しい動向を中心に据えた。ただ、伝統のなかにも市場ニーズは見いだせる。伝統を活かした新しさ。市場ニーズはある。乾燥野菜のニーズにどう応えるかは地域や環境や経営の考え方によって選択肢が変わるだろうが、最終的に求められるところに求められる形で届けられるかどうかに尽きるだろう。
乾燥機は、基本的な食品加工技術として古くから利用されてきた。野菜の乾燥では、エアードライ(AD)またはフリーズドライ(FD)が一般的に用いられる。どちらもすでに技術としては確立しているといっていい。
付加価値を高めるために、いくつかの技術を組み合わせた複合機なども開発されている。省エネや省スペース、衛生面などの向上を目指した改良も進んできた。24ページで紹介している「ドライアライブ」も、そんな一例だ。
乾燥関連技術としてパウダー化技術についても触れておきたい。一般的には、食品を乾燥させた後、粉砕してパウダーにする。
最近はコメの粉=米粉が普及しているが、従来からある上新粉とどこが違うのか。上新粉と米粉の違いは粉粒の細かさ。米粉のほうが上新粉より粒子が細かい。この細かさによって、小麦粉と同じような用途が可能になった。
野菜乾燥の場合も同様に、従来より粒子の細かいパウダーがつくれる粉砕機が開発されている。舌触りの滑らかさだけではない。消化吸収性の向上が見込め、麺や菓子などへの練りこみでも、従来品より少ない量で同じ効果が期待できるようになった。

【インスタント麺と乾燥野菜】
業務用の乾燥野菜市場が成長したきっかけは、70年代から急成長を遂げたインスタントのカップラーメンのかやくとして採用されたことだった。ネギがその代表格である。
フリーズドライ技術を持つ企業14社からなる日本凍結乾燥食品工業会によると、フリーズドライ技術はそのとき採用されたのだという。カップラーメンが爆発的な売れ行きを見せるとともに、工業会の発起人でもある天野実業(株)をはじめ、乾燥野菜の加工業者が増えていった。
大分県豊後市の佐々木食品工業(株)や、長野県高山村の(株)アスザックフーズなどもインスタント麺用乾燥野菜を中心に業績を伸ばしてきた企業といっていいだろう。
また、外食産業のラーメン店でつくるスープにも乾燥タマネギや乾燥ニンニクが使用され、成長に拍車をかけた。エアードライ技術による乾燥野菜もこの勢いに乗った。
当初、業務用の原料となる野菜は国産だったが、1990年前後には、価格の安い外国産にシフトしていくことになる。原料の輸入形態には2つあり、原料として入ってきて国内で加工されているパターンと、エアードライやフリーズドライという完成品で輸入されているパターンがある。

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