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特集

乾燥野菜の進化形 チャンスをとらえるヒント集



【新食感の
ドライフルーツ】

展示コーナーには、まさにこの乾燥機で加工した野菜や果物を入れた瓶が並んでいた。ドライアライブで加工した食品を販売している(株)ハンズ・フーズ・ジャパンの中谷彰七さんが、パイナップルやスイカ、ネギなどを食べさせてくれた。
瓶を開けると、どれも素材が持つ香りが立ってくる。生鮮以上に香りは強いかもしれない。果物については、水分がほどよく残っているためだろう、食感がネットリとしていて面白い。保存用の砂糖は使っていない。食感も香りも明らかに従来のドライフルーツと違っていて、まったく新しい商品といえる。
ドライアライブの乾燥方法は三つある。一つ目は吸気乾燥。食材に温風を当てながら空気を入れるのと、減圧して真空にするのとを繰り返す。二つ目は食材に蒸気を当てるのと減圧真空を繰り返す方法。三つ目は減圧して真空にしながら、食材に温風を当てて同時に除湿する方法。それぞれ食材によって使い分ける。
ハンズ・フーズ・ジャパンはドライアライブでダイコンやヤーコンなど5種類の野菜を加工して袋詰めした「非常食 乾燥野菜」を販売している。1袋10g入りだが、これだけで成人が一日に必要な野菜350gの半分を摂取できるという。

【きっかけと需要を
喚起した大震災】

ドライアライブの発案者は、その販促事業をしている(株)エフ・ジーの前島福夫さん。前島さんは1号機を開発したものの、庫内に入れた素材を均一な状態に仕上げるには至らなかった。その後、大一・テクノが仕事を引き継ぎ、改良を重ねて現在の4号機を作り上げた。この最新機について、前島さんは「むらなく乾燥できるまでになった」と強調する。
前島さんが栄養素を保持する乾燥機を発案したきっかけは、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。この大震災は6434人の死者を出したが、そのなかには災害関連死が900人以上も含まれている。災害関連死というのは、災害による直接的な死ではなく、災害によって余儀なくされた避難生活での疲労や病気の悪化によって死を迎えること。前島さんは「酵素は50度以上で調理するとなくなってしまう。仮設住宅の居住者たちはレトルト食品や弁当食ばかりで、生の野菜を満足に取ることができなかった。その結果、酵素不足が原因で亡くなった人も少なくない」と話す。
その後に開発したドライアライブは2011年に起きた東日本大震災で注目されるようになった。この大震災をきっかけに全国の自治体は非常食の常備化を進める。たとえば東京都は「東京都帰宅困難者対策条例」を施行。企業に対し、「従業員の3日分の飲料水、食糧、その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならない」とした。

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