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【トウモロコシのはなし】
世界の生産事情とGM品種の普及
- 北川祐子
- 第3回 2015年11月06日
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トウモロコシは世界で最も広く生産されている穀物だ。表1にトウモロコシ(青刈りトウモロコシを除く)生産上位20カ国の生産量を挙げた。1位の米国は34.7%、上位10カ国で79.5%の生産量を占めている。日本は輸入の約8割を生産上位15カ国に頼っている。ちなみに日本は158位で180tを生産していることになっているが、あくまでFAOの推計による。弊誌が把握するところでは今年の作付けは185haで、現状ではいずれにしても自給しているとは言いがたい。
中国とメキシコは生産上位国ではあるものの、輸入大国でもある(中国は8位、メキシコは2位)。基本的に畜産用飼料としての需要が多いが、中国はこれまで力を入れてきた畜産増産に限界があるとみて、来年以降、食肉輸入へ方針をシフトすることを発表した。輸入量のランキングで順位を下げるまでに至らなくても、世界的なトウモロコシの需給でみると大きな変動が予測されている。
表1でもう一つ注目したいのは、10a当たりの収量だ。北米陣が1t近いのに対して、品種や栽培体系の違いはあるが、生産上位国でも600kgを下回る国が多い。国内で取り組んでいる事例で10a当たり1tの収量レベルの達成が難しくないことから、日本でも十分に北米陣と肩を並べてトウモロコシ生産に取り組むことが可能だと考えられる。
この収量格差に大きな影響を及ぼしている一因が、遺伝子組み換え(GM)品種の普及率である。現在、トウモロコシ、大豆、綿花、ナタネはGM品種が年々シェアを拡大している(図1)。トウモロコシに限れば、世界的なGM品種のシェアは約30%(図2)だが、生産国によって普及率はまったく異なる。生産第1位の米国では、作付面積当たりのGMトウモロコシの割合は2015年実績で93%に及んでいる。日本がトウモロコシを輸入している国では、ブラジルが81%、南アフリカが87%(いずれも13年実績)、アルゼンチンが80%(14年実績)と高い。日本は輸入していないが、カナダでは98%とほぼすべてがGMOである。
表1でもう一つ注目したいのは、10a当たりの収量だ。北米陣が1t近いのに対して、品種や栽培体系の違いはあるが、生産上位国でも600kgを下回る国が多い。国内で取り組んでいる事例で10a当たり1tの収量レベルの達成が難しくないことから、日本でも十分に北米陣と肩を並べてトウモロコシ生産に取り組むことが可能だと考えられる。
輸入の9割がGM品種
この収量格差に大きな影響を及ぼしている一因が、遺伝子組み換え(GM)品種の普及率である。現在、トウモロコシ、大豆、綿花、ナタネはGM品種が年々シェアを拡大している(図1)。トウモロコシに限れば、世界的なGM品種のシェアは約30%(図2)だが、生産国によって普及率はまったく異なる。生産第1位の米国では、作付面積当たりのGMトウモロコシの割合は2015年実績で93%に及んでいる。日本がトウモロコシを輸入している国では、ブラジルが81%、南アフリカが87%(いずれも13年実績)、アルゼンチンが80%(14年実績)と高い。日本は輸入していないが、カナダでは98%とほぼすべてがGMOである。
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