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特集

農産物「規格」を考え直す いまこそ民主導への転換を!

農産物の品質規格は穀物を中心に国家によって管理されてきたが、もはやフードチェーンの実態に合わなくなってきている。現実にそぐわない品質規格は生産者と消費者の双方に無理や無駄を強いるだけでなく、農業や食品業界の成長にとっても大きな害をなすのではないだろうか。本特集では、国が主導してきた品質規格の構造的問題や時代遅れを指摘すると同時に、民が主導する品質規格づくりの新たな動向を探る。 文/窪田新之助、浅川芳裕、熊野孝文、平井ゆか

穀物検査の概要と問題点

現行の農産物規格は1951年に施行した農産物検査法に基づく。その後改正もあったものの、流通において一定の品質を確保するという目的は変わっていない。農林水産省穀物課は「生産者と実需者の意見をともに聞きながら、規格の基準を決めている。大事なのは安全性ではなく見た目。あくまでも外観を重視している」と説明する。
まずは現行の農産物検査規格がどうなっているか、主要穀物を品目別にざっくりと押えておきたい(19ページ表参照)。
なお、コメ(水稲)については23ページ下段の表も併せて見ていただきたい。

【交付金も絡む検査
欠点方式でいいのか】

表に目を通していただければ大体の見当はつくと思うが、農林水産省の農産物検査はいわゆる「欠点方式」だ。つまり各種検査項目の数字ひとつでも外れてしまうと、格落ちしてしまう。たとえば水稲玄米の場合、他の検査項目がすべて1等に入っている場合でも、1項目だけでも2等や3等と判定されれば、その品位に格付けされてしまう。
一連の農産物規格に基づく検査は、農林水産大臣の認可を受けた登録検査機関が実施する。実際の地域では登録検査機関はJAや小売業者、農業法人が請け負うことが多い。
いずれの穀物においても「規格外」と判定された場合は経営所得安定対策で交付金の対象外となる。
ところで農産物検査を受けないとどうなるか。まず食品表示法の対象外になる。つまり袋売りする際、そこに産地品種銘柄や年産を記載することができない。単なる「国産米」という扱いになってしまう。
それから経営所得安定対策の対象外になる。つまりコメや転作の作付けに対する交付金が受け取れない。その理由について農林水産省穀物課は、「経営所得安定対策の交付金は農産物検査で出荷数量を確認することを前提にしているため」と説明する。

【用途には考慮なし
実需に合わせた規格を】

現状の農産物規格は実需の実態を反映していない。
たとえばコメ。農産物規格では斑点米が1000粒に1粒なら1等、2、3粒なら2等と格付けされる。各等級で価格が1000円前後違ってくるので、そのためだけに農家は斑点米カメムシの防除剤をまくことになる。また現状では検査を受けずに自主流通するコメが多くあるにもかかわらず、それらのコメには産地品種銘柄や年産の表示が許されていない。

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