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シリーズ水田農業イノベーション

収穫実演と新たな挑戦―岩手・北海道で開催された検討会の報告―

今年も国産Non-GM子実トウモロコシの圃場に収穫期が到来している。播種時点で185haに拡大した取り組みだが、規模拡大に伴っていろいろな課題が生じてきた。北海道では生産組合が立ち上げられ、府県では需要者と協力してそれぞれ解決策が検討されている。収穫実演とともに行なわれた2つの検討会の模様を報告したい。 取材・文/窪田新之助、柳原孝二

水田農業イノベーション
2015
第2回検討会(岩手県花巻市)

農業技術通信社は『農業経営者』読者の会とともに10月25日、岩手県花巻市で「水田農業イノベーション研究会2015」の検討会を開いた。子実トウモロコシに関する検討会の今回のテーマは「ハイモイスチャーシェルドコーン(HMSC)サイレージの豚への給餌」。関係者を含めて約90人が集まり、子実トウモロコシを普及するうえで、課題として見えてきた乾燥調製・貯蔵に対する解決法を探った。

【コンバイン収穫から
サイレージ化までの実演】

まず、花巻市石鳥谷にある農業生産法人(有)アグリストの圃場に参加者らは集まった。コンバインでの収穫作業に続いて、収穫したばかりの子実トウモロコシを粉砕機で細かく砕き、乳酸菌を添加しながらフレコンに詰めてサイレージ化するまでの一連の工程が実演された。
「シェルドコーン」とは脱穀した子実トウモロコシのことで、とくに高水分のものを「ハイモイスチャーシェルドコーン(HMSC)」と呼ぶ。今回の取り組みは乳酸発酵によりサイレージとして調製した後、豚に給餌する試みだ。

【乾燥せず豚に給餌できる
HMSCサイレージとは】

実演会の後、JR花巻駅前のホテルで検討会を開いた。農業技術通信社の加藤祐子が国産Non-GMトウモロコシの概況を報告。2010年に試験栽培が始まった子実トウモロコシの生産面積は14年度に約150ha、15年度に約185haまで広がっていることを報告した。 
その後、パイオニアハイブレッドジャパン(株)の佐藤智宏氏がHMSCサイレージについて解説した。
子実トウモロコシは「ブラックレイヤー」が見られる完熟期に収穫の適期を迎える。ブラックレイヤーというのは、完熟するほどに黒くなる実の中で穂軸についている部分のことである。この時期の子実の水分含有率は25~35%。子実にデンプンがフルに蓄積されて乾物重が最大になる。ただし、収穫が遅れたり、倒伏などによりロスが増える。サイレージとして利用するためには、子実の水分が低下すると発酵しにくくなるので、収穫適期を逃さないことがポイントになるという。

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