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「見える化」するにはまずは記録しないといけません。この手間をどうするか。それでなくても農業は手間がかかるので、やる仕事は増やしたくありません。
最近ではスマホを使って圃場にいながら簡単に入力できるようになりました。GPSを使えば作業場所も自動で記録できます。スマホと各種デバイスを接続すれば入力の手間も省けます。たとえば、作物の情報をバーコードにしておけば、スマホで読むだけで入力不要、スーパーのレジと同じ仕組みが簡単に作れます。また、センサー技術を使った装置を圃場に設置すれば、気温や湿度、土壌の温度を自動で蓄積できます。
これからの農業は規模拡大が避けられないでしょう。従来の家族経営から、従業員を雇って管理する経営へ。経営規模が大きくなると、経営者は会合や取引先との打ち合わせなど、農作業以外で忙しくなりがちです。すると、細かい点まで自分の目で見られなくなり、農作業の質の低下も心配になります。ここでも役に立つのが記録したデータです。経営者が外出していても、自分の農場での作業状況をスマホで確認。画像も記録すればさらにわかりやすくなります。
【人の見える化も大切】
記録したデータを活用するポイントのひとつに「人」があります。新しい従業員が入ってきたりすると、作業精度もバラバラになります。それを数値として見える化して従業員教育に役立てる。同じ仕事でも作業時間や収穫量などに違いがあれば、そこから改善点を探すヒントが得られます。
また、忘れてはいけないのがコミュニケーション。従業員一人ひとりの考えや思いを経営者が理解し、逆に経営者の考えを伝える。SNSのようなツールを導入するのも手かもしれません。農園で使う場合には、栽培記録と併せて使うのが効果的です。各作業者が学んだこと、気づいたこと、工夫したことなどを記録し、それに対して経営者や先輩従業員がコメント、アドバイスする。離れていてもできるコミュニケーションと教育です。個人ごとの作業状況を把握したり、個人のスキルや経験値を含めて見える化することで農園全体の生産性が上げられます。
【IT導入のポイント】
最近はクラウド上で提供される農業向けのサービスも増えました。使えそうなサービスが見つかったら試用をお勧めします。無料利用期間や1カ月だけの利用なら、コストをかけずに試せます。使ってみて初めてわかる課題もありますので、大きな投資をする前に検証しましょう。
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矢萩大輔 ヤハギダイスケ
(有)人事・労務
代表取締役
大手ゼネコン勤務後、1995年に社会保険労務士として都内最年少で開業。起業支援ポータルサイト「ドリームゲート」アドバイザーとして新規就農にも相談に乗っている。農業を通したリーダーシップ研修の場として自社農園「アルパカファーム」を運営。八戸農業ビジネスナイトセミナーや、FM東京「あぐりずむ」の出演プロデュースなども。著書『脱家族経営!若者に魅力ある農業経営のレシピを教えます。』ほか。
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