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特集

2015年センサスの『農業経営者』的読み方

農林水産省は「2015年農林業センサス(同年2月1日現在)」の結果概要(概数値)を発表した。同省の概要報告に加え、『農業経営者』的読み方を付け加えてみた。 (解説/昆 吉則)

図1 農林業経営体数(全国)

農林業経営体数(15年2月1日現在)は140万2千経営体で、5年前に比べて18.8%減少した。このうち、農業経営体数は137万5千経営体、林業経営体数は8万7千経営体となり、5年前に比べてそれぞれ18.1%、38.1%減少した。
『農業経営者』的読み方
農業経営体数の減少率は5年間で18.1%(30万4千戸)、さらに10年前の32.6%(63万4千戸)でほぼ同じ減少率である。この農業経営体数の減少をどのように見るべきなのか。さらに、後述の農家数、農業就業人口の減少を含めてその現象を嘆くのが農業界一般の読み方と思われるが、本当にそうなのであろうか。むしろ、農家数あるいは擬似農家が多すぎるところに日本農業の根本問題があると言うべきなのである。

図2  法人化している
農業経営体数(全国)

農業経営体のうち、家族経営体数は134万2千経営体で、5年前に比べて18.6%減少した一方、組織経営体数は3万3千経営体で6.3%増加した。
特に、組織経営体の法人経営数は2万3千経営体で、5年前に比べて33.6%増加した。この結果、組織経営体に占める法人経営の割合は69.2%となった。また、法人経営の内訳をみると、会社法人数は1万6千経営体、農事組合法人数は6千経営体となり、5年前に比べてそれぞれ27.0%、54.6%増加した。
『農業経営者』的読み方
組織経営体でありながら法人格を持たない、あるいは農事組合法人に分類されている経営体の増加が著しいが、その多くはいわゆる集落営農であろう。農業である限り「集落」をベースに経営が成立していくのは当然であり、一概に集落営農がいけないとは言わない。問題は、マーケットへの明確な役割意識に欠けた「我が農地を守れ」という思いだけで成立している「経営者不在」の集落営農組織であり、そういったところはやがて破たんしていかざるを得ないであろう。組織経営体数は増えているが、なかでも農事組合法人、あるいは株式会社組織であっても時代のなかでの農業の役割を自覚し、その経営を管理できる者のいない経営体はやがて破たんしていくと思われる。そして、その破たんをきっかけに経営力のある農業法人や農業経営者による経営に変化していくはずだ。しかも、そこには補助金で導入された農業機械類があり、それが有効に使われていくであろう。

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