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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第十四章 資金運用の分析(2) 資金繰り表を作成しよう!



資金繰り表はその時点の資金量を示してくれる。その一方で資金運用表からは、経営者が1年間に自由に動かせるであろう、流動性の高い資金量を読み取ることができる。この資金を正味運転資金と呼ぶ。
経営者の自由に運用できる純粋な資金といわれてパッと思いつくのは、当座資産と短期負債の差額だろう。さらに、棚卸資産も現金に換えることができるのでこれを加えよう。これを正味運転資金とする。
図3の事例で正味の運転資金を算出すると、期首の当座資産550万円と棚卸資産90万円を合わせた流動資産は640万円。そこから流動負債(短期負債)180万円を差し引いた460万円が期首の正味運転資金である。同様に、期末では当座資産が300万円、棚卸資産は150万円で、短期負債200万円を差し引くと、正味運転資金は250万円となる。
期首も期末も正味の運転資金はプラスであるが、500万円の機械器具への設備投資が正味運転資金を減らしてしまったと考えることができる。来期は別の資金繰り方法が得られない限り、投資を続けると正味運転資金をなくしてしまう。
当期利益金が積み増しされた自己資金である資本金や、負債による借入資金で、資金繰りは続くのか。今期は単に正味運転資金を減らしたに過ぎないのか。実態を見据えるためには資金運用表の整理も、正味運転資金の算出も怠れない。  
多くの農業経営が決算期を迎えるこの時期。昨年と今年の貸借対照表を比較し、資金管理に注目することは、近い将来の投資計画を練るために重要な時間となるはずである。資金運用表をこれからの資金繰りにぜひ活かしてほしい。

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