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トウモロコシのはなし

トウモロコシとカビ毒(1)

2015年12月、米国の畜産雑誌に畜産用サプリメントメーカーによる北米産トウモロコシのカビ毒の分析調査結果が掲載された。この記事では、北米各地で同年収穫したトウモロコシ100サンプルを検査し、そのうち97%から単胃家畜(豚や鶏など)に甚大な被害を及ぼすカビ毒を少なくとも1種類、多いものでは6~7種類検出したと報告。これから1年間のトウモロコシ利用にあたって注意を喚起している。
15年、北米では春に湿度が高く、秋以降は乾燥するという、カビ発生に絶好の条件が整っていた。収穫段階ですでにカビが発生していたケースも多かったという。輸入トウモロコシは1カ月近くかけて日本に輸送されてくるのだから、生産地でカビ毒の警告が出ていれば、日本はより一層リスクが高いことになる。
しかし、なぜそれほどカビ毒が注目されるのか? カビ毒は穀類、とくに麦の生産をしている人にとっては身近な問題だが、縁のない読者も少なからずいると思う。今回はカビ毒とは何か、またトウモロコシにおけるカビ毒の危害についてまとめたい。

カビ毒の種類

カビ毒とはその名のとおり、カビが植物に寄生した際に産出する化学物質のうち、ヒトや家畜が摂取することで悪影響を及ぼすものの総称である。ひとことでカビ毒と言っても、世界的には100種類以上が確認されており、原因菌も多岐にわたる。
ただ、国際食品規格を作成するコーデックス委員会や日本が、国内で食品被害を及ぼすものとして監視対象となっているものはそう多くない。国内で(輸入品も含め)確認されている農産物、食品を汚染するカビ毒を表1に示した。このうち、パツリン以外のカビ毒はトウモロコシを汚染することが知られている。

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