ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

土と施肥の基礎知識

土はどのようにできたか?

1.「土」か「土壌」か

世間では、土や泥といえば汚れたもの、汚いものと思われがちである。「俺の顔に泥を塗った」とか、相撲で負けることを「土がつく」、悪いことをする「泥棒」など悪いイメージがある反面、泥を顔や肌に塗りつける「泥エステ」があり、「泥つき野菜」からは安全・安心を感じる人もいらっしゃるだろう。
土や泥は全国各地で使われる用語であるが、新潟など北陸地方では土のことを「べと」という。おそらく、べとべとする重粘な土が多く分布するからだろう。
また、世界各地で土を食べる風習もある。胃腸薬の主成分は人工的な泥ともいえるケイ酸アルミニウムだ。さらに私たちは、土の上に建てた家に住み、土から収穫した農産物を食べている。これは農家ばかりでなく、一般の人もガーデニングを楽しんでいる。 
このように土は私たちにとって最も身近な環境のひとつである。
一方、大学のカリキュラムでは「土壌学」、また土の健康診断を「土壌診断」という。その他にも、「土壌微生物」「土壌消毒」「土壌改良資材」など、農業では「土壌」という用語がよく使われるが、普段は「土」や「泥」ということが多い。
「土」と「土壌」はどう違うのだろうか。大きな辞書や漢和辞典をひも解いてみると、「土」とは大地を示す一線上に植物が生育した様を示す字で、「植物を生育させる大地」という意味があると思われる。一方、「壌」には「柔」あるいは「やわらかな肥えた土地」の意味がある。
それによく似た字で醸造の「醸」はすの意味で、微生物の働きで物質がゆっくり変化する現象である。さらにお嬢さんの「嬢」には「母(はは)」の意味があるそうだ。すなわち、「土壌」とは「植物をゆっくり育てる柔らかな母なる大地」と意味づけてよいのではなかろうか。

関連記事

powered by weblio