記事閲覧
【土門「辛」聞】
原点を忘れ、国内タックスへブンと化したJAの「高下駄営業」は目に余る
- 土門剛
- 第137回 2016年02月04日
- この記事をPDFで読む
農協は農家である組合員(正組合員)が組織する協同組合。その農協は、正組合員の農業活動をサポートして所得増大に貢献する役割が義務づけられた。その役割を果たさず、農家でもない地域住民に准組合員という資格を与え、正組合員である農業者へのサービスをおろそかにして、金融、ガソリンスタンド、葬祭業など農業とはあまり関係のない事業に熱心になるのは農協の本旨に反する。これが准組合員規制を持ち出した政府の基本的な考え方である。
これにイコール・フッティングという視点も忘れてはいけない。いくつもの事業を展開する農協には、各分野にライバルとなる民間業者が必ず存在する。それら民間業者との競争が、平等かどうかという問題だ。というのも、農協には税金の優遇措置や補助金といった既得権がある。俗にいう「高下駄」を履いて民間業者と競争してはいけないという考え方だ。
JA葬祭「客の囲い込み」
農協改革の国会審議でも取りざたされたJA葬祭と民間葬儀社との関係がわかりよいか。いかに高齢者が多い農協でも、葬祭事業を運営するのに、正組合員だけでは事業が成り立たない。そこで非農家の一般住民を利用客として積極的に取り込んできた。これが既存業者の商権を脅かすことになった。JA葬祭が問題視されるのはなぜか。東京都内の専門葬儀社を構成員にする全東京葬祭業連合会(東葬連)のホームページの説明がわかりやすい。
これにイコール・フッティングという視点も忘れてはいけない。いくつもの事業を展開する農協には、各分野にライバルとなる民間業者が必ず存在する。それら民間業者との競争が、平等かどうかという問題だ。というのも、農協には税金の優遇措置や補助金といった既得権がある。俗にいう「高下駄」を履いて民間業者と競争してはいけないという考え方だ。
JA葬祭「客の囲い込み」
完璧ビジネスモデル
農協改革の国会審議でも取りざたされたJA葬祭と民間葬儀社との関係がわかりよいか。いかに高齢者が多い農協でも、葬祭事業を運営するのに、正組合員だけでは事業が成り立たない。そこで非農家の一般住民を利用客として積極的に取り込んできた。これが既存業者の商権を脅かすことになった。JA葬祭が問題視されるのはなぜか。東京都内の専門葬儀社を構成員にする全東京葬祭業連合会(東葬連)のホームページの説明がわかりやすい。
会員の方はここからログイン
土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
ランキング
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)