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今年の市場相場を読む

過去10年間で変わった野菜流通 エダマメ/ワサビ/ブロッコリー/ミョウガ

前回は、東京市場の10年(2005年対2014年)を対比して、輸入野菜入荷の変移を検証してきたが、今回はこの10年で市場流通の在り方が変わった品目を見てみたい。入荷時期や入荷ピーク、単価の異常、産地変更や全体の入荷数量激増。こうした変化はなぜ起こったのか。これまでは、気候の関係や前年の相場、系統販売の変化などによって入荷~流通が変わることが多く、あまり明確な増減の理由は見えなかったものだが、近年においては何がしかの理由や背景、意図的な戦略などが目につくようになった。卸売市場の相場がその品目の評価にいかに近づけるか、市場側のテーマもある。

エダマメ
春の早出しが減り夏秋が増える。食味本位の評価に

【概況】
東京市場の流通状況をこの10年で対比すると、入荷量で16%程度減り、単価では3割以上も高くなった。ただし、入荷減と単価高のバランスは悪くない。いわば自然の相場推移の範疇に入る。しかし、中身を精査すると大きな変化があった。ひとつは05年ではシーズン前の3~5月の入荷が多かったのに対して、14年では春の入荷が減る一方で9~10月の秋の入荷が増え、単価も高いということだ。
【背景】
本来エダマメは6月が本格的なスタートで、ピークは7~8月。5月までは早出しで単価も良く、秋以降の入荷品はあまり評価されなかった。その意味では、早出し産地の静岡や埼玉は高い単価を享受したものだ。しかし、近年では明確に味本位で評価されるようになった。8月以降にピークとなる山形のだだ茶豆の食味が本当のエダマメの味とされて早生物の評価が下がり、夏以降の晩生の濃厚な味が支持されるようになった。
【今後の対応】
食味本位の評価がされるようになると、8月以降の山形だだ茶豆、秘伝のズンダ加工、そして晩生品種の宝庫だった秋田が県育成の「香り五葉」を推奨品種として、「東京市場一番のエダマメ産地」をスローガンに、行政・系統が連携してエダマメを振興。ついに15年9月にシェア46%を達成した。丹波など黒豆の枝豆はそもそも10月解禁。晩生のエダマメこそが貴重でおいしいという新しい評価基準が定着したといっていい。

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