ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

来たれ!TPP【中編・実践講座】


甜菜の生産は大きなイノベーシヨンの可能性があります。第一に、移植から直播への転換が進めばコストダウンが起きるでしょう。直播は移植に比べ労働生産性が10倍高い。育苗コストも不要です。農家の能力が向上すれば、直播でも移植と同じ収量を上げることができるはずです。
畑作作物のなかでは甜菜とジャガイモは一番機械化と省力化の効果が現れる品目だと思います。この両品目を省力的に大量に生産できる体系を確立することが、他の高収益作物の生産を充実する大きな力になるでしょう。北海道農業が一番恐れなければならないのは、このような理由での生産縮小による消費者の信頼を失うことではないでしょうか。
以上述べてきたことはある意味で、農業の分業化になるかもしれません。オールマイティーな経営を目指すのではなく、自分の得意とする分野に力を注ぎ込むことが大切で、そのことにより多くの農家が生きていける道が開けるのではないでしょうか。これらのことを考えるとコントラクターや農家受委託の契約内容などを早急に作り上げなければなりません。

-PROFILE-
1948年生まれ。酪農学園大学卒業後、就農2年目で8haを後継。規模拡大を続け、現在50haでジャガイモ、甜菜、小麦、大豆、スイートコーンなどを栽培する。96、97年に渡英してジャガイモの栽培体系を学び、北海道で初めてソイルコンディショニングシステムを導入。2000年、地元・芽室町で加工用ジャガイモの作業受託組合を結成。01~06年、芽室町加工馬鈴しょ生産組合の組合長を務める。15年、後継者の息子に経営を移譲した。

農家の魂はボーダーレス。
海外と戦う以外に同質化して
ワールドワイドな道も探りたい
株式会社ファーム・アライアンス・マネジメント 代表取締役 松本 武 氏

2012
【生産過程の見える化と農地確保で国際化に対応】

低関税の野菜は、TPP後の世界を先取りしたボーダーレス市場で戦ってきました。その実体験から私は農業を「資源産業」と捉えています。まず「農産物は必ず足りなくなる」という大枠のインテリジェンス戦略があり、だからレアアース産地のように「質の高い農産物を豊富に産出できるところには投資マネーが入ってくる」と考えているのです。実際、ファンドをはじめ、世界的に農業および農業関連産業の投資参入者が増えています。
また、新興国の経済成長で肉を食べる人が増えると、野菜の消費量も増加する傾向があります。一方で、野菜や果物の栽培に適した優良生産適地は穀物などと比べ地球上でも限られる。だから、国内の優良農地をできるだけ多く確保することが重要なのです。

関連記事

powered by weblio