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特集

来たれ!TPP【中編・実践講座】


さらに、扱う農産物のすべてに標準でPL(生産物賠償責任)保険をかけます。これが一騎当千の農業者がアライアンスを組むことでブランドの一体感を省コストで生み出し、独自性豊かな出荷アイテムの増加と規模の拡大を実現する連合存立の仕組みです。

【海外農場とも共存 農業で地方創生に挑む】

私たちのビジネスモデルは世界の航空会社の航空連合が発想のヒントです。たとえば、全日空に搭乗すると「スターアライアンスメンバーANA」とアナウンスされるでしょう。農業でも航空連合のようなビジネスモデルをというアイデアが生まれたのは10年以上前なのですが、国際化対応の危機感や志を共有する仲間が現れて全国展開するまで多くの時間が必要でした。
もっともTPPは大平正芳総理が78年に発表した「環太平洋連携構想」が出発点ですから、40年来の政策がまだ実現(発効)していないのです。その間に日本は借金大国になり、多くの農業者は甘えの構造で行政やJAに依存し、変化への適応を怠ってきました。TPP後も全員が目覚めて行動することはないでしょう。ある地方自治体は危機感から横並びの農政をやめ、できる人を支援する方針に転換しました。
JR西日本が14年に資本参加し、当社の筆頭株主になりました。JR西日本の沿線自治体は担い手の高齢化率が著しく高く、このままでは地域の重要産業である農業の衰退は避けられない状況にあり、同社の危機感はある意味農業界よりも意識が高いです。単に「農業を守る」ではなく、世界で戦える農業者を育成し、地域農業を成長産業にすることで、沿線経済の活力を取り戻すことを目指しているのです。
私は内閣府規制改革会議農業ワーキング・グループの専門委員を拝命しました。いまださまざまな規制も多く、一朝一夕に事が運ばないことは一農業者としても苛立ちを感じますが、官邸を中心としたマインドの高さはこれまでとは違うようです。ただ、農業の成長のために「2020年までに農業輸出1兆円」の掛け声は立派ですが、リアルな農産物流通を理解できていない省庁間の省益もあり、輸出のための物流インフラの問題は解決しそうにありません。
海外展開の一環として、海外の農業者・農場とのアライアンスも今後は実現すると思います。海外農場と組むことで農産物の安定供給が可能となるほか、日本にないユニークな技術に利用料を払って共有するといった新たなビジネスが生まれるでしょう。農家の魂はボーダーレスで、彼らと戦う以外に同質化してワールドワイドなファーム・アライアンスになる道も探りたいです。

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