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特集

来たれ!TPP【中編・実践講座】


また、私は「産地」という言い方にも懐疑的です。神奈川県は30年以上前からキャベツの産地に指定されています。当時は、日本人が日常的に食べる野菜の種類が少なく、神奈川の気候に合って作りやすかったからではないでしょうか。ところが、日本人の食卓に並ぶ野菜の種類は多様化し、人口減と相まってキャベツニーズの絶対量も減っています。これでは価格競争に巻き込まれて当然でしょう。
ここ20年間、ほとんど何も変わらなかったのですが、周囲で高齢化などによる離農が少しずつ出てきました。今後は規模拡大を図り、ドイツのマイスターの教えに従って後進を育てていく。長島農園で修業してから、のれん分けのような形で独立してくれたら最高です。

2016
【消費者視点で地元密着販売を強化】

私が研修先のドイツで真っ先に教えられたのは、農業経営の基本や経営哲学です。農業マイスターの社長から、顧客に農作物を売るためのマーケティング、農場で従業員に心地よく働いてもらうための雇用形態の重要性などを繰り返し説かれました。顧客(消費者)マーケティングの観点から、域内のグローバル化が進むTPP後の世界で生き残る術を考えていますし、すでに実践していることもあります。
一つは、グローバル化の流れに乗ること。TPP発効後はヒトの移動が容易になり、外国人労働者の受け入れも可能になっていくでしょう。高齢者の離農に伴う大規模化の結果として人手不足に陥った際、彼らに農業経営や技術を教えながら、季節労働者として雇うことも考えています。国籍を問わず、次世代の農業経営者を育成することが農産業の発展には何より重要です。
そして私は年間120種類の野菜を栽培していますが、4年前と比べ輸入物を含む西洋野菜に対する消費者の関心が増しています。小売店での売り場面積や扱う種類が明らかに増えました。新たな消費ニーズが高まっているわけで、グローバル化の進展はこの傾向を後押しするでしょう。国内の野菜農家にとっても新市場でシェアを取るチャンスだと思います。
一方でたとえば、煮物用のサトイモをはじめ、正月野菜のように国産シェアが圧倒的に高い野菜もあります。消費者の選別は「外国産」か「国産」かといった単純な基準ではなく、TPOや文化・嗜好が強く反映されるようになってきている気がします。そして、日常の食卓に並ぶスタンダードな野菜に関しては、「地場産」に一定の需要が存在しているのですが、その消費者ニーズに応え切れていないのが実情です。

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