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土門「辛」聞

准組合員規制から郵政並み事業分離への道筋 抵抗する農協にどう切り込んでゆくか

農家である正組合員の減少に苦しんだ農協は、農家でもない地域住民を准組合員にして切り抜けてきた。そして准組合員の数が正組合員を上回ることになった。農協改革は、伸び続ける准組合員に規制をかけることもテーマになった。規制の根拠は、農協法第1条だ。
「農業者の協同組織の発達を促進することにより、農業生産力の増進及び農業者の経済的社会的地位の向上を図り、もつて国民経済の発展に寄与することを目的とする」
農協は、「農業者の協同組織」が基本。だから税金の減免や独占禁止法の適用除外など優遇措置を与えられてきた。准組合員が正組合員を上回るような組織は、「農業者の協同組織」とは認め難いので、規制を導入して農協の原点に戻す。

規制骨抜きを
防ぐためにつけた条件

准組合員規制は、今回の農協改革では決着しなかった。5年間実態調査を実施して最終的な結論を出す。准組合員規制は、農協の経済事業と金融事業(信用と共済)を分離する総合農協の解体につながるため、JAグループは猛抵抗した。農協法改正法案が参院を通過した際、JAグループの要請で次のような附帯決議がつけられている。
「准組合員の利用の在り方の検討に当たっては、農協法第一条の目的を踏まえるとともに、正組合員数と准組合員数との比較等をもって規制の理由としないなど、地域のための重要なインフラとして農協が果たしている役割や関係者の意向を十分踏まえること」
この附帯決議は、政府の規制改革会議が2014年5月に公表した「農業改革に関する意見」のなかで、「准組合員の事業利用は、正組合員の事業利用の2分の1を越えてはならない」という数字を示していた。例えば、信用事業で貯金量3000億円なら准組合員の貯金量は、員外利用のことを抜きにすると1500億円以下ということになる。これがそのまま適用されたら、准組合員の利用に制限をかけることになる。その附帯決議は、その「2分の1ルール」を杓子定規に適用させないため、JAグループが注文をつけたものである。

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