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多様な農業のそれぞれのかたち

「7次化」という農業の形/顧客が欲しい形で生産・販売するカスタマイズサービス

農産物を作って出荷する農業から、いまやその領域は無限大に広がっている。参考までにここ最近の「新・農業経営者ルポ」のテーマを見ても、ブランディングや加工品づくり、外国産が主流の作物の国産化と多岐にわたる。ここでは二つのケースを取り上げる。

「7次化」という農業の形
栗の里相模原インター店(神奈川県相模原市)

とりわけ都市部では、農業や農地が貴重な財産となっている。この財産がどこまで活かされているのか。眠っている農地は都市近郊でも少なくない。そんななか、栗の里((有)笹生農園)では農業を取り込んだレストラン事業を展開している。そこから農業の「7次化」という新たな基軸が見えてきた。(文/八木誠一)

「農業の6次化は難しい。だからまずは6次化をパスして、農業を活用する方法はないか。農業に付加価値をつけるというより、他の事業の付加価値として農業を活用する。それを私は『7次化』と呼んでいます。7次化を突き詰めてから下げる。6次化はむしろ次のステップ、課題になるでしょう」
こう語るのは、ステーキレストラン「栗の里相模原インター店」のオーナーである笹生剛(さそう・ごう)氏だ。
「なかなかわかってくれる人が少なくて。もったいないから野菜は売ったほうがいいよっていう考えが大多数なんです」
店舗の周辺は、宅地化・商業地化・道路整備が進んだとはいえ、まだ市街化調整区域内の畑がけっこう残る。その多くは小規模な自給的農地。5年前の津久井郡との合併前は、相模原市の西側はずれに位置した地域だ。政令指定都市とはいえ、緑区内には過疎化問題を抱えた地区もある。そこに4年前、笹生氏は栗の里をオープンさせた。7次化の拠点施設でもある。
笹生氏は、農業を営みながら飲食店経営という笹生一族のなかで育った。レストラン栗の里のルーツとなる店(現在の厚木店)の開業は50年ほど前までさかのぼる。厚木市の郊外に位置する山際地区で代々農業を営んできた笹生家、剛氏の父が開いた店だった。
当時、笹生家の生業はコメ・果樹・養鶏など、農地は60aほど。東京近郊では平均的な栽培面積といっていい。栗の里というネーミングは果樹栽培にちなんだものだろう。折からの高度経済成長期、農家は兼業化の時代を迎えていた。剛氏の父も会社勤めを経験。そのかたわら開店した飲食店だった。当初は食堂、定食屋、その後はファミリーレストラン風。時代の流れに合わせて業態も変わっていった。

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