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特集

日本に子実トウモロコシ産業をつくろう


「特段に農水省が悪いというつもりはない。人間誰しもいったん染みついた考え方を変えるのは難しいんです。補助金は要らない。割りに合ったロットで値段は読めるから、これくらい投資できるというのは計算できる。むしろ、補助金をつけるほうが高くつきます」
これに呼応するように、前農水審議官の針原氏は補助金のあり方について次のように語った。
「国産トウモロコシが産業として未成熟な段階なのに補助金を投入することを危惧しています。だいたいにおいて、補助金を受けた業界は不健全になってしまいがちになることを歴史は物語っている。補助金を入れるなら、むしろ川下で需要を喚起するほうが健全な産業の発展につながるのではないか」

【用途限定の足かせを外す】

補助金に加え、現行の制度で定められている「播種前契約」の弊害もある。転作関連の補助金や交付金は作付け前に用途を限定してきた。現行の経営所得安定対策に限っても、コメについては「主食用」「加工用米」「飼料用」などを播種前に決定しなければならない。こうした「一物二価・三価」が、偽装表示や違法転売を生み出してしまったことを農水省が知らないわけはあるまい。
トウモロコシについても同じことが言える。生産者である柳原氏は、作付け前に食用か飼料用かを決められてしまうと、品質によって用途を分けられなくなる弊害について指摘。「有効的に使う流れが非常につくりにくい。この点は改善すべきだ」と強調した。    (窪田新之助)

関連制度の見直し(2)
邪魔になるなら変えればいい

【生産調整の考えを捨てよ】

吉田氏は、補助金や播種前契約など現状の制度について「戦後農政の縦割り体制が田んぼにまで落とし込まれてしまっている」と批判。「ぜひ農水省の方々に聞いてもらいたい」と前置きしながら、「野菜と同じように、植えてから契約ができる仕組みに変更すべき」と訴えた。
「生産調整の頭がいまだに抜けていない。穀物や田んぼというと、(国が)調整しないといけない、コントロールしないといけないという体質がいまだに残っている。この仕組みを打破しない限り、(国産トウモロコシの産業化は)不可能なんですよ」

【外観重視品質規格の矛盾】

柳原氏は生産者の立場から矛盾だらけの現状の品質規格について疑問を呈した。
たとえば、大豆では汚粒が減点対象となる。豆腐の製造会社は大豆を水洗いしてから加工するのに、なぜ汚れていたらいけないのか。
麦について言えば、外観の形質が丸いことが求められる。ただ、外麦はそれほど丸くない。なぜ国産だけ形質が規格の対象になるのか。

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