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特集

日本に子実トウモロコシ産業をつくろう


同国では農業生産の現場近くにカントリーエレベーターがある。そこから少し離れた国内流通の拠点場所にリバーエレベーター、さらに輸出港にはポートエレベーター。
以前であればそれぞれのエレベーターは管理事業者が異なっていた。ただし、現在は5、6社あるポートエレベーターが事業者ほかのエレベーターを垂直統合した格好になっている。そして、輸出業者は生産者の近くで集荷。物流事業も展開しているので、ここでもコストダウンできる。
肝心なのはこうした貯蔵施設が、日本の補助金を使った使った施設とは違い、用途別に限定されていないことだ。トウモロコシでもコメでも扱えるようになっているのが日本とは大きく違う。吉田氏は熱の入った声で次のように問いかけた。
「こうした仕組みが日本でもできますか? 日本の場合はコメ用だとかトウモロコシ用だとか考えないといけないのが問題。日本の農業の行く末を真剣に考えるなら、いままではこうだったという考えを本気で捨てましょう」
ちなみに、日本の農家は穀物に関して食用と餌とは違うという認識を持っている。吉田氏はこれについても疑問を投げかける。
「農家の方は、なぜ餌を作らなければならないのかと言う。あなたが食うより牛のほうが高くなるんだよと。バリューチェーンというのは餌から肉になるまでのことだから」
国産トウモロコシのインフラは単純にJAが設置すればいいのかというと、決してそんなことはない。むしろ、民間企業に任せたほうが費用対効果ではるかに合理的に整備できる。その証左として吉田氏は、三菱商事が全額投資して九州に野菜の冷凍装置を竣工した話を持ち出した。稼働率についてJAの事業であれば2カ月程度のところを11カ月に延ばせたという。
「サプライチェーンのなかで誰が金を出したら、全体のコストが下がって、収益性を上げられるか話し合いをするパターンをつくらないとダメです」

【見通しと段取り】

これに関して問題として挙げたのは、事業開始時にはロットが少ないため、赤字必死の船出となること。それでも近い将来のロットがどれだけになるかの見通しさえ立てば、投資できるという。だから、肝心なのはその見通しを立てることだ。
「トウモロコシが年間1600万t輸入されているなか、国産の市場規模がよくわからないため踏み出せない。そこでやるのはひとつのサプライチェーンを構築することです。皆さんと我々と売り先、それからもうひとつの売り先、これら4者が組み、5年かけてこれだけの頭数に使うので、売り上げにするとこれだけになるという話を決める。さらに、そこからリスクにどう対処するかという話を詰めていく。そうした段取りを取らないかぎり、すべて無駄骨に終わるのではないか」

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