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北海道馬鈴薯でん粉物語

トラクター営農時代を迎えての馬鈴薯栽培に関する農業機械の開発改良技術 整畦培土機

昭和49年(1974)、北海道清里町から普及員が訪ねてきて、新しい培土機を作ってほしいと依頼された。一発培土(早期培土)の現地試験を2カ年したら、明らかに増収が認められたが、問題は雑草が多く、その処理に窮したことである。ただし、培土した表面を板で擦って固めるとかさぶた状になり、除草剤がよく効いて、ムラサキツユクサも生えてこない。擦り板を装備した培土機が作れないかというものであった。
一発培土(早期培土)が増収するとは栽培担当者からよく聞かされていたが、その理由が明確に示されなかったのであまり興味はなかった。しかし、15%ほど増収するというのである。問題は雑草処理であり、擦り板で解決するとされれば取り組んでみようと考えた。それではと、培土の形状に合わせて短冊状の板を並べ、これをそれぞれ上からスプリングで押さえる培土機を作り、現地試験に臨んだ。初めてのことであり、必ずしも満足できるものではなかったが、現地から大成功とほめられた。
これがきっかけで本格的に整畦培土機の開発に取り組むことになった。馬鈴薯は品種によって塊茎の分布が異なるので、どの品種にも適合できる培土の形状を探り出そうとした。写真3のようにパンタグラフを工夫して4分の1の縮尺で記録した。男爵薯は種イモを中心としたこじんまりとした分布である。紅丸は若干広い分布であり、メークインははみ出すように分布することがわかった。
メークインのような品種でも、塊茎が地表に露出しないような培土の形状にするとすれば、相当大きな断面にしなければならない。トラクターが導入された当初は30馬力であった。それが昭和40年代後半(1970年以降)に入ると60~80馬力になろうとしている。けん引動力には不自由しないので、理想的な形態にしようとした。
図1が最初に形を整えた整畦培土機である(写真4・5)。培土プラウを大きくし、ボトムプラウのように下から土を上に滑らせ、反転してすき込むように盛り上げるようにした。後方の整畦板は擦りを兼ねるので、除草剤の効果を高めるのはもちろんである。

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