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農家は軽しょう土地帯では多くは、ロータリーハローの1回がけであるが、粘質土壌地帯では2回がけをするものである。写真13のロータリーハロー作業を見ればわかるように、トラクターのタイヤは15 cmほど沈下している。その下はタイヤの踏圧で踏み固められている。土壌水分の多い状態で作業すればなお固められる。
ロータリーハローの作用深さは15 cmくらいのものである。当然、この踏圧列を砕土することにはならないでそのまま残る。ロータリーハローで表層を砕土してから後方の整地板で均すと、踏圧列はそのまま砕土した土に覆われてしまう。仕上がりはきれいであっても、下層に締め固められた踏圧列はそのままになっている。
図4はその状態を示したものである。1回がけでは踏圧列は断面積で30%を占める。2回がけとなると60%である。専門家の一人が整畦培土は側板を押し付けるようにして整畦するから、それは固すぎの原因になっていると言う。もう一人は耕起深が浅いと指摘しているが、じつはこの踏圧列を破砕していないことが問題なのであるとした。
これはロータリーハローにルーズナー(タイヤ跡消し)を取り付けて、正常に使うことで簡単に解決する問題なのである(写真14)。一般に見えない部分はそのまま見過ごされてしまう。しかし、一流の農家はわずかなところも看過せず、きちんと手当てするものである(図5)。多少手間を要そうとも必ず見返りのあることに留意したい。
前後するが、図6は整畦培土の形状や大きさを種々検討してきて、完成の域に達したときのプロフイールである。慣行培土と比較して断面積を20%以上広くできるので、これでよしとした。中段の整畦培土と慣行培土の断面積が若干広くなっているのは、培土プラウの前に心土犁を取り付けたことによるものである(写真15)。畦間を心土破砕すると、土壌が砕土されるので、培土量が多くなることを示している。培土の凹みから下100mmに心土破砕の通過した跡が残っている。
心土破砕を取り付けて作業すべきかどうかについては、けん引抵抗が多少大きくなっても取り付けるだけのメリットがあると言えよう。培土量が多くなることは、それだけ根圏域を広めることであり、一方、降雨が続いた場合などに畦間から迅速排水を可能にするものである。馬鈴薯などは湿潤な状態を好まない作物であるので、排水性を良好にしておくことは増収、高品質化を約束するもので、栽培上心得なければならない大事なことなのである。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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