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特集

未来なき飼料用米政策 高米価の再来を許すな!


【加工原料米の急激な値上がり
くず米が飼料用米に逆流】

今年4月20日に東京・平河町で開催された全国米穀工業協同組合(略称全米工)の今年度1回目の東日本情報交換会の席上で飼料用米“問題”が取り上げられた。
全米工は加工用原料米の搗精(とうせい)・販売業者を主に組織される全国団体で、飼料用米政策を問題視している要因は、この政策により本来加工用原料米として供給されるべき低品位米(くず米)が飼料用米に使用され、供給量が減少、価格が高騰している一因になっているのではないかと懸念しているため。情報交換会ではこの問題について多くの時間が割かれた。どうしてこうした現象が起きるのか解説するには前置きが必要だ。
飼料用米の助成金は平成27年産から数量払いの助成金が新たに導入された。生産地の平年単収基準を上回る収量を挙げるとそのぶん助成金が上乗せされる。全国平均では、平年単収基準10a当たり530kgを挙げれば8万円の助成金が受け取れるが、その収量を上回ると1kg当たり167円が加算され、最高680kgで10万5000円にもなる。
この規定に従った助成金を受け取るには検査を受けなければならないが、飼料用米の検査は主食用米と違い等級や銘柄の検査は必要ない。必要な項目は水分と異物混入だけである。このため飼料用米助成金を多く受け取ろうと思えば、くず米を増量原料として使用し、単収が増えた形にすればよい。
もちろん逆のケースもある。ある産地で国の要請に従って飼料用米生産に取り組んだところ、その地区の作況指数が100であっても飼料用米の単収がそれに達しなかった場合、その生産者は飼料用米を主食用に横流ししたという疑いをかけられるのを恐れてくず米を増量原料に使用することもあり、こうした事例が現実にある。
少しくどくなるが、全米工の組合員にとって自らの商材である低品位米の供給量が減少するということは死活問題なので、当日の情報交換会でどのようなことが話されたのかその概要を紹介したい。
まず、27年産米の低品位米発生量は、統計上で1.7mm下は10a当たり15kgで、総量では22万5000tになる。26年産との比較では2万7000t、約1割減少したという結果になっている。
加工原料米に使用される低品位米はそれだけではなく、その実態は複雑になるので省略するが、全米工の会議では、コメの需給データに精通している副理事長が「統計上では1.7mm下は前年産に比べ10%程度の減少になっているが、現状はそれ以上に供給量が減少していると思える。その原因として飼料用米に逆流しているくず米があるのではないか」とし、出席社に意見を求めた。

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