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特集

未来なき飼料用米政策 高米価の再来を許すな!



【前年比1割以上の
原料価格変動はおかしい】

明治ライスデリカでは、毎日約10数tのコメを使う。原材料のうちコメは金額ベースで半分以上を占める。人件費や機械、物流費などを含めた商品原価全体でもコメのウエイトは大きい。
農林水産省が発表する相対価格は加重平均で、平成27年度産が対前年比120.1%に上昇した。
「当社はまさに、その渦中にいます。食品の原料のなかで2桁%も変動することは通常あり得ませんよね」
穏やかな口調の代表取締役社長・奥正明氏が言葉に力を込めた。
中小の炊飯業者の経常利益は売り上げの数%である。原価は利益に直結するため安定した経営が難しくなる。平成24年に米価が2~3割程度上昇したときは、売り上げが伸びているにもかかわらず、経営計画で想定した利益が出せず、非常に厳しい経営状況に陥った。
コメの調達はその年の収量、品質、価格動向により、契約方法を決めている。幸い、年末までの必要量は確保できたが、今回も4月以降、値上げのダメージがじわじわと経営を圧迫する。
「米価の乱高下によって、会社の損益が大きく左右されるのは、事業の取引としておかしいと言わざるを得ません」
日配の炊飯に使われる主食用米は、ブランド米ではなくB銘柄が多い。そんななかにあって、明治ライスデリカは特Aや商品に合う銘柄にこだわり、主に山形県と岡山県の単協と連携して調達している。一部、卸を通しているが、明らかに供給量が不足している。例年に比べて、確保に苦労せざるを得ない状況であった。
「高くても、おいしいものづくりにこだわることが会社のポリシーですから、他の安い銘柄をスポット買いはしません。品質を安定させる意味も含め、限定した産地から購入しています」
コメの調達先を限定しているのには、もうひとつ大きな理由がある。原材料のトレーサビリティの確保だ。どこのコメを、どんな経路で持ち込み、どのタンクを通って炊飯の釜に入るのか。万が一、お客様から何か指摘があった場合、その原因を特定するため経路をたどる必要がある。そのため、スポット買いで安いコメを入手するのは得策ではない。

【炊飯業の構造不況化も
招きかねない状況】

コスト吸収を図るため、いまも生産効率を上げたり、物流を見直したりするなど、さまざまな手段を講じている。
二次加工品のご飯の量を減らす。外食産業のメニューや、おかず入りの弁当であれば、その選択肢もあるだろう。しかし、明治ライスデリカはその選択肢をとってはいない。その理由は、その商品に見合うご飯量があり、おいしく食べてもらうためだ。

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