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特集

未来なき飼料用米政策 高米価の再来を許すな!


自助努力が追いつかずコスト吸収できる範囲を超えれば、価格転嫁して取引先に負担を頼むしかない。年明けからその交渉を続けているが、客先も消費者心理を考えると価格転嫁は難しい状況にある。
とくにスーパーの中食市場はまだデフレから脱却できていない。コンビニと異なり、スーパーではおにぎりは1個100円以下が相場という感覚も根づいている。また、巻き寿司やいなり寿司のセットは298円や398円といった値付け方法も壁になっている。
いわゆるプライスリーダーが価格を決められる業界とは異なり、中小企業の炊飯業界のなかでは、先陣を切って値上げに踏み切ることはできない。
強く出れば、他の安い商品にとって代わるだけだ。
コメの価格変動は、いまや日配炊飯業界の構造不況を招きかねない状況に至っている。

【信頼を裏切らないための
経費も増加】

奥正明氏は、炊飯業は労働集約型の産業だと話す。職場を提供できる一方で、昨今の労働力不足の問題はこの工場も例外ではない。労働賃金の上昇に加え、ここにきて米価の上昇に苦しめられている。
さらに経営を圧迫しているのが、「食の安全・安心」という要求や期待に応えるための設備や経費だ。
従来は衛生性の管理や、金属探知機を通すといった品質チェックに重きが置かれていた。それに加えて現在はユニフォームや工程記録カメラなど、いわゆるフードディフェンスのための投資コストがかかるようになった。
「ひとたびお客様の信頼を裏切るような事態になれば、その親会社まで立ち直ることが難しい世の中です。安全・安心を確保するための投資がいままで以上にかかりますが、これについてのお客様への転嫁をしないのは自明の理です。やはり常に安定した調達ができて、安定した適切な利益を出さなければ、安心して購入していただけない時代になっています」

炊飯事業の現場 明治ライスデリカ狭山工場

明治ライスデリカが炊くコメは、産地から直接調達されている。工場に届いたコメは、納米室の保管用のタンクを経て炊飯室に送られる。
計量から洗米、浸漬、炊飯、蒸らしまですべて自動化されており、昼夜を問わず一日中、炊飯作業が続けられる。
工場2階の炊飯室に入るとコンベアの上に釜がずらりと並んでいる。大人が両腕でつくる輪よりやや大きなサイズの釜が全部で260個。
4段のコンベアに並べられた釜はゆっくりと70分かけて進みながら浸漬され、ガス火がついた39個のかまどのラインに移動する。

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