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特集

未来なき飼料用米政策 高米価の再来を許すな!


熊野 飼料用米の影響で、業務用米の価格が上がっています。今年の端境期には、たいへんなパニックが起こる可能性が高い。飼料用米への転作の圧力のかけ方を見ると、今年はとくにひどいですね。たとえば早場米産地の千葉のふさこがねや茨城のあきたこまちのような早期米の主食用品種でも、飼料用に転用すれば助成金を倍額出すからとにかく飼料用米を作れと。あきたこまちは主食用には、ほとんど作れないですよ。
千田 私たちは、売れるコメ作りというキーワードを産地に投げかけてきました。平成27年度産も28年度産も、私たちはこれだけ必要です、絶対買いますと産地に言っても、「申し訳ない、主食用米を作る面積が足りないから、希望の量を出せない」と言われます。いままでの契約が壊され、いったんリセットされてしまいました。過去にも同じようなことがありました。飼料用米の政策は、あまりにも実需者と消費者を馬鹿にしていると思います。
福田 私は乳業業界にいたあと、炊飯業界に入りましたが、コメの価格の決め方が不透明なことに不自然さを感じました。誰が生産者米価を決めるのか、誰が相対価格を決めるのか。あまりにも政治が関与していることに問題があると思います。政治が市場価格に介入してくることが私は極めて不愉快です。
熊野 同じコメでも飼料用だと価格が安い。用途限定米穀に対する助成金によって価格がねじ曲げられる。だから透明で公平な価格なんてできないんです。助成金でコメの価格を変えていくと、こういう副作用があるので、マーケットをにらんだコメの生産ができないんですよ。

【飼料用米の補助金が
モラルハザードを起こす】

昆 米政策改革大綱で平成16年から生産調整は生産者または生産者団体が主体となって行なうという方向性があり、本当は平成21年にそうなることとしていたのですが、政治の混乱でその道筋が崩れてしまった。さらに飼料米政策が出てきて、ムチではない強烈に甘いアメの政策により、食管法の時代より強力な生産調整をしています。生産者にアメを与え、糖尿病にして廃人にしようとしている。まともな経営者たちも変わっちゃうんですよ。意欲ある人をつぶすことになって、ますます日本の水田農業は危うくなります。それではいつまでたってもイノベーションが起きません。
福田 補助金の額はすごいですね。新聞がいくら騒いでも世論で問題になりませんが。
千田 一般の人にはわかりにくい。
昆 最大10万5000円の補助金を国民が税金で負担しています。消費者からしたら往復ビンタですよ。許されるはずないですよね。

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