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特集

未来なき飼料用米政策 高米価の再来を許すな!


昆 この政策の背景には何があると思いますか。
熊野 財務省の資料に転作助成金のデータが出ていますね。平成20年は1400億円ぐらいだった。28年は3170億円です。餌米を増やすのに1600億のカネが必要です。これだけ使って自給率は上がっていません。こんな政策ありえますか。はっきり言って利権によるものです。
福田 財務省が提言しましたよね。ところが農林水産省ではまったく問題にしていませんよ。
千田 政府がキャラバン隊組んで行って知事に強制的に飼料用米の数字を達成しろという理由がわからない。生産者のため、または票を集めるためであれば、直接補償すればいいと思います。有償で流通している主食用米で約600万t、農家保有米で約150万tあります。600万tのほうに、仮に1俵当たり6000円、計6000億円の補助金を出せば、競争力のある価格で流通できます。それをやらない理由は高い価格を維持したいということですよね。つい2~3年前、農林水産省は需給調整の介入は一切しませんと言ったんですよ。それなのに、これだけあからさまに介入しているのは不自然ですよね。最近は、介入を隠しもせずにやっています。この変わりようはなんだろうと思ってしまいます。
昆 転作への政府の関与をなくすと建前で言った一方、飼料用米以外に転作作物の想定がなかったわけです。そのなかでTPPも農協改革もやらなきゃいけなかった。あれほど財務省が騒いだのに蹴飛ばしたのは、飼料用米と農協改革との裏取引があったというストーリーも考えられると思うのですが。
熊野 私の見立てでは、明らかに全農は初めのころ、飼料用米にそんなに積極的ではありませんでした。それがなぜ急にやり始めたか。全農が作った水田活用米穀の制度が、組織を維持するためにものすごく便利なものだからです。飼料用米として主食用品種を作れと。どうやったって転用できるじゃないですか。農協系にとって最高のモデルです。それを農水省は容認したんです。今年の予算には飼料用米の多収穫の研究予算がないですよ。
昆 農水省は当初、転作する作物として飼料用米しか知らなかったわけですけど、我々がいま取り組んでいる飼料用トウモロコシも理解されつつあります。それを見ると、あいかわらず農業者や農業団体の票集めのためではないかと思うのですが、それについてはどう思われますか。
千田 最初は選挙対策の可能性も高いと思っていました。もしそうだとしたら何十年、同じことを続けるんでしょう。国民を馬鹿にしている政策だと思います。米政策改革大綱も壊しつづけていますね。「我こそは日本一!飼料用米多収コンテスト」というのがあります。これは補助金を一番もらった人が農林水産大臣賞をもらえるコンテストです。生産者への配慮だとしてもやりすぎだと思います。

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