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経済力とは異なる価値基準を持つ消費者の出現
昆 貴社は、ある階層を想定していわゆるプレミアム商品を販売していらっしゃると思いますが、来店されるお客様が求めるものに変化はありますか。
福島 そうですね。とくに4~5年前から変化を感じています。
昆 たとえばどんな商品ですか。
福島 非常にベーシックなお米やおむすびですね。非常によく売れます。おむすびひとつにしても、天然鮭や塩のセレクトの力を持てば支持していただけます。牛乳も、飼料がNon‐GMO(遺伝子組み換えでない)であることを謳っているものは、1500円前後でも売れます。いまのお客様は、その牛乳を買って飲むために、ほかの支出とのバランスを取るという感覚を持ち合わせていらっしゃる。それは食に対するお金の使い方というムーブメントとして、5年、10年経ったときに、相当のポジションを取るでしょうね。
昆 福島屋さんに来店するお客様には、経済力の基準とは違う価値基準があるということですね。
福島 おっしゃるとおりです。所得が多い方も少ない方も、頻度の違いはありますが、ご来店いただいています。ランチタイムにおむすびをお買い求めいただくとか、特定のアイテムをお買い求めいただくとか、月に1回ご来店いただくとか、私たちの店をいろんな形で使い分けていただいています。
昆 欠乏社会の日常と、過剰社会ですべからく日本人が豊かになってからの日常は変わってきたのではないでしょうか。
福島 ものすごく変わってきました。私たちは日常の食にスポットを当てていますが、いまはやはり多様化していて、人それぞれ、まさに十人十色です。ただし、先ほど言いましたように、おいしいと感じる基本のリズムはみんな同じです。
昆 福島会長がリズムと呼んでいらっしゃる体が求める満足や、自分の文化が求める満足を、プレミアム商品に求めるお客様は、いまの日本の市場のなかにどれくらいいるとお考えですか。
福島 根拠はありませんが、私の感覚では7~8割の方々。反対に、食のクオリティに対してあまり興味がないという方々は2~3割いると思います。1%の富裕層を対象にマーケティングしている方は、インターネットで自然栽培の農産物を販売していることが多いですね。私たちを強く支持してくださる層は、そういう富裕層の方々も含めてマーケット全体の2~3割に当たると思います。おいしければまた次も買ってくださると思いがちですが、意外とそうではありません。お客様ともコミュニケーションが必要です。コミュニケーションしているお客様は支持して買ってくださいます。
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福島徹 フクシマトオル
(株)福島屋
代表取締役社長
1951年東京都出身。大学在学中、家業のよろず屋を継ぎ、酒屋、コンビニを経て、85年に現業態の食品スーパーマーケットへ転換。東北の生産者から直接コメを仕入れるなど、農業と距離を縮めるとともに、コラボレーションによるオリジナル商品を開発・販売する。現在は(株)福島屋代表取締役社長のほか、!ユナイト(農商工連携ビジネスコンサルティング会社)代表取締役社長、農業法人NAFF取締役を兼務。 http://www.fukushimaya.net/index.html
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