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若くして経営者となった坂本さんは人柄の良さや優しさで周りから支持を得ているようだ。そしていろいろと相談もされるのだろう。そのせいか、この町の事情がわかっている。たとえば高齢者が買い物に困っていることも。
そこで坂本さんは2016年5月から移動販売車を始めた。神岡町の個人商店10店舗から販売を委託された日用雑貨品を軽トラックに積み込んで、買い物が不便な地域に売りに行っている。本業が空いている時間を利用して神岡町全域を回っているそうだ。取引先を個人商店に限ったのは住民の生活の支えとなるそうした店をつぶしたくないから。買い物難民に物資を届けたい、けれども輸送費まではかけられないという商店の思いを汲んだわけだ。
ここ神岡町船津もまた全国のほかの地域と同じように、人口減少とそれに伴う生活雑貨店や公共交通機関の撤退などにさらされている。ただしそうしたことを嘆いてみても始まらない。むしろ環境の変化にどう対応すればいいのかが肝心。まさしく「環境の変化こそ動き出す好機」である。
社会の変容に正面から向き合い、ポジティブに対応していく坂本さん。それを支援する地元の人たち。そうした人々のたくましく前向きな姿に神岡町船津という地域の未来を感じた。
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