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●南方さび病
九州を中心に、四国、関西など西日本で確認されている。高温多湿な条件下で多く発生する。6月中旬ごろから感染が始まり、とくに二期作の二作目での発生が多く見られる。
生育時期としては乳熟期を過ぎたころから始まり、下位葉よりも上位葉に多く発生する。夏胞子は黄色~オレンジ色で、葉がさびたような色合いになる。
こちらも抵抗性品種があるので、発生状況に応じて選択したい。
●黒穂病
全国的に発生が認められている。
感染すると葉、節、穂に白いゴール(肥大組織)を形成する。その中に黒穂胞子が入っており、ゴールの成熟により表面が破れ、胞子が飛散する。この黒穂胞子は厚膜胞子(耐久性のある胞子)で、地面に落ちると翌年以降の感染源となる。厚膜胞子は作物残さに残り土壌潜伏し、堆肥化しても死滅しない。他の作物と輪作体系を組み、土壌内の病原体を減らすことも有効な防除手段となる。
抵抗性品種はある。
●ワラビー萎縮病
熊本県を中心に、九州で発生している。温暖化により被害地域が拡大していることから、今後注意が必要な病害である。
播種後間もない幼苗がフタテンチビヨコバイにより吸汁され、毒素を注入されると、葉脈が縮れ、新しい葉の展開など成長が著しく阻害される。フタテンチビヨコバイは高温に強く、7月下旬ごろから大発生する。9~10月が発生ピークになるため、二期作の二作目での被害がとくに大きい。
数は少ないが抵抗性品種がある。ただし、フタテンチビヨコバイの発生密度が高い時期には抵抗性品種でも被害を受けるため、播種時期は8月上旬よりも早めが望ましい。
●根腐病
全国的に発生している。根が褐変し、黄熟期を過ぎると雌穂が垂れ下がる。病原体はピシウム属菌、フザリウム属菌。被害が大きくなくても、茎が軟化するため機械での刈り取りが困難になる。イネ科植物に寄生して越冬するため、これが感染源になると言われている。排水条件が悪い圃場では罹患しやすい。
黄熟期を過ぎると一気に枯れ上がり、収量に響くため、感染が確認された場合は黄熟期に達したら早めに刈り取ることが肝要になる。
抵抗性品種はある。
病害対策
病害対策としては、発生後に病巣や罹患株の除去、焼却などを行なうという栽培管理方法もあるが、栽培株数を考えると現実的には不可能である。そのため、耕種的な防除対策が基本となる。
具体的には、(1)抵抗性品種の選択、(2)適期栽培、(3)適切な施肥、(4)適正な輪作体系を組む、(5)畑周辺の雑草、栽培残さの除去、(6)密植を避けるなど株にストレスのない栽培環境を整える、(7)殺菌剤の利用、などがある。このなかから、3つの項目について詳しく述べる。
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北川祐子 キタガワユウコ
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