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特集

根深い農産物貯蔵施設問題 ハコモノに巣食う利権


売る側はそれで利益が上がる。ところが我々のような買う側は逆だ。貯蔵施設にかかるコストが高くなれば、競争力を失ってしまいかねない。だからこそ、貯蔵施設の高コストを問題視するわけだ。一企業の利益だけを考えてのことでなく、世のため人のためにもならないのではないだろうか。税金を何重にも払うようなことをされるのではたまらない。
そもそも農産物の価格が物流コストで占められているような状況は極めて不自然だ。どうにかしないといけない。変えるためには、買う側が投資をする必要もあるのではないか。
その際に使える手法のひとつとして、プロジェクトファイナンスがある。企業本体から切り離して事業=プロジェクトに投資する。仮にその事業が失敗に終わったとしても企業本体にまでは影響が及ばない。独立会計というものだ。リスクを最小限に抑えられる投資あるいは融資である。生産者なら、畑まで失う危険は小さい。こんな手法もこれからは検討してみる価値はあると思う。

【農業以外では非常識な補助金依存体質】

もし補助金を使いたいなら、まずは民間が必要な施設をつくるべきだろう。施設や設備を自由に選んで支払いも自分で済ませる。そのうえで証明書類をそろえて補助金を申請すればいい。行政側は法令に則って審査して処理する。
このような方式ができない理由はない。にもかかわらず、なぜ変わらないのか。農業者は不都合があっても、声を挙げることは少ない。農業者自身が既存システムの温存を助長しているともいえる。その意味で、既得権に乗っかっている。何億円もかけた施設ができたことだけではしゃいでしまう。
農業者が声を挙げれば、きっと変わるはずだ。貯蔵施設そのものも、農業者の声を反映させれば、はるかに使いやすくなるだけでなく、コストも安上がりなはずだ。
ところが実際はどうか。まずは補助金ありき。しかも、設備の型番さえ指定されていることがある。このへんは、メーカーごとにローテーションが組まれているフシもあった。今回はこの会社、次は別の会社の設備が補助金を出す際の条件になっていたりするわけだ。
つまり、貯蔵施設は、農業生産者や流通業者の利便を考えてつくられるというより、むしろ施設・設備メーカーの収支を考慮してつくられているのではないか。そう勘繰りたくもなる。
そもそも補助金は最終手段だった。いわば麻薬である。使わないに越したことはない。ところがいまの役人は平気で補助金を出す。出したくて仕方ない。予算を使いきれない事業だってあるのだから。

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