ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

根深い農産物貯蔵施設問題 ハコモノに巣食う利権


価格にはこういった構造の違いも影響しているだろう。しかし、それを差し引いて考えても5倍という価格差は大きい。

【仕様の違いは改造と使い方で克服】

日本製が高温多湿の環境に対応しているのに対して、米国製は雨の少ない乾燥した空気のなかで穀物を収穫し、乾燥・貯蔵させることが前提で設計されている。気候の違いなどによって仕様が異なる点には注意が必要である。
購入から組み立て、そして実際の使用まで、次のように対応した。まず、マドラーは、米国製のなかでも能力が高いものを選んだ。組み立ての際はタンク内に雨水が侵入しないように建築業者に依頼して改造した。
また、コントローラーは米国製のものを使うこともできたが、使い勝手を良くするために、自分で考えた基本設計を元に電気回路を知人に依頼してつくった。
乾燥作業は、収穫時にもみ水分約25~30%のものを18%まで落とし、3~4日置いた後に、別の貯蔵乾燥ビンに移して、出荷時のもみ水分を15%まで落とす。そのとき、外気の湿度が高いと逆に水分が上がってしまうため、晴れた日を選んで作業する。
別のビンに移す作業をしている理由は、仕様の弱みをカバーするためである。
ビンの内部には、内壁に発生する結露に穀物が直接触れないように、穀物を囲む金属メッシュが備え付けられている。下から空気を送り込むと、金属メッシュと内壁の間にできたすき間を風が素通りしてしまう。
また、丸型ビンのマドラーは、内壁にぶつからないように10cmほど壁よりも短く設計してある。そのため、どうしても外側の穀物の乾燥具合が悪くなり、そのままにしておくとカビが生えてしまうことになる。
一手間かかるが、こうして仕様の弱みをカバーし、乾燥ムラやカビ防止に対応している。なお、3月に最後の出荷を終えるまでは、2~4週間に1回程度、空気を入れ替えるために送風をしている。

【買う側が賢くならないと売る側が有利になる】

この貯蔵乾燥ビンも、米国の展示会で見つけたものを直輸入した。直輸入では、メーカーによるアフターメンテナンスが受けられないリスクを負うことと、自分である程度、目的の仕様に改造できる力を持っていることが前提となる。ただ、貯蔵乾燥ビンの場合、機械ほどの複雑さはないため、比較的輸入しやすい。
より重要になってくるのは、何を選択するか判断するための情報だ。国内外の製品に対する知識と、助言や協力をしてくれる人的ネットワークを持っていることが必要になる。

関連記事

powered by weblio