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【土門「辛」聞】
英国のEU離脱を農産物輸出から展望する
- 土門剛
- 第143回 2016年08月12日
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産直でも
単一市場を実感
筆者が、最初にヨーロッパに赴いたのは、学生時代の1969年だった。当時は、アンカレッジ経由の北極回り路線しかなく、航空会社が搭乗記念に「北極通過記念証」を乗客に渡していた時代だ。これを皮切りに、都合60回ぐらいはヨーロッパ線を利用した。旅行先は、主にドイツとイタリア。どちらも40回以上は通っただろうか。
その経験から、ヨーロッパ諸国がEU(欧州連合)を結成し、さらに単一欧州市場まで誕生させ、それに合わせてユーロと呼ぶ統一通貨も導入したことの意義のようなものは、肌感覚で理解してきたつもりだ。
人、モノ、資本、サービスの移動の自由を約束した単一市場を実現したのは、92年のことだった。当時の思い出は、イタリアでピザ屋に入っても、本場ドイツのビールがドイツ国内並みの価格で飲めるようになったこと。国境も関税も取り払われたからだ。あのまずいイタリア産ビールから解放されて、正真正銘の樽生を飲めるようになってホッとした印象がある。
それまで国境や関税があったことが不思議なくらいだ。例えば、ミラノへはドイツ南部から高速道路で5時間弱。距離にして400kmほどだから、東京―名古屋間に相当。それぐらいの距離で国境や関税があることは、いま思えば、かなり不自然なことだった。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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