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土門「辛」聞

英国のEU離脱を農産物輸出から展望する

英国が国民投票でEU離脱を選択した直後にロンドンを訪れた。取材といったら格好いいが、貯めたマイレージの消化で旅行に出かけただけ。たった2日間の滞在だったが、EU離脱の現地の空気を何となくつかむことができたのは大きな収穫。農産物輸出というアングルから英国のEU離脱の今後を展望してみた。

産直でも
単一市場を実感

筆者が、最初にヨーロッパに赴いたのは、学生時代の1969年だった。当時は、アンカレッジ経由の北極回り路線しかなく、航空会社が搭乗記念に「北極通過記念証」を乗客に渡していた時代だ。これを皮切りに、都合60回ぐらいはヨーロッパ線を利用した。旅行先は、主にドイツとイタリア。どちらも40回以上は通っただろうか。
その経験から、ヨーロッパ諸国がEU(欧州連合)を結成し、さらに単一欧州市場まで誕生させ、それに合わせてユーロと呼ぶ統一通貨も導入したことの意義のようなものは、肌感覚で理解してきたつもりだ。
人、モノ、資本、サービスの移動の自由を約束した単一市場を実現したのは、92年のことだった。当時の思い出は、イタリアでピザ屋に入っても、本場ドイツのビールがドイツ国内並みの価格で飲めるようになったこと。国境も関税も取り払われたからだ。あのまずいイタリア産ビールから解放されて、正真正銘の樽生を飲めるようになってホッとした印象がある。
それまで国境や関税があったことが不思議なくらいだ。例えば、ミラノへはドイツ南部から高速道路で5時間弱。距離にして400kmほどだから、東京―名古屋間に相当。それぐらいの距離で国境や関税があることは、いま思えば、かなり不自然なことだった。

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