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実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第二十一章 投資の心構え(2)財務状況から見た投資チャンス

帳簿の数字を眺める力

いまどきの新規就農の方はすごい。私は農業への新規参入に肯定的で、普及指導員時代には就農相談などで志望者に接する機会が多かったこともあり、できる限り応援してきた。いまでも農業に就いた後のよろず相談を受けることがたびたびある。そんな彼らの何がすごいかというと、どうやって儲けるか、その目論見やビジョンが明確で、数字をしっかりと見据えていることだ。
それを間近で見せつけてくれる農業者がいる。彼は研修期間も含むと農業に就いて4年目。イチゴ(ハウス栽培)の専業で、順調に売上をガンガン伸ばしているようである。とくに感心したのは、帳簿の数字を眺める力が強いことだ。簿記の基本は高校時代にマスターしたそうだが、税理士に任せきりの農家生まれの農業者よりも堅実に、ときに大胆に経営を展開している。
毎年、生産にかかわる費用をある程度予測して、予算編成するところまでは誰しもが行なうだろう。しかし、彼は3年後、5年後、10年後を見据えて資金を調達し、投資を着実に進めている。イチゴ用ハウスのかん水設備の導入や選果場の整備など、お金をかけずに作業動線を確保した改造を自ら行ない、作業機器は高額でもコレだ!と思ったら積極的に購入する。昨年からはもぎ取り園の運営にも乗り出すなど、経営にさらなる工夫を凝らす姿勢は強気である。
さて、一生懸命に農業を軌道に乗せようと挑む彼らに、決まって素朴な疑問を投げかけてきた。トラクターへのこだわりについてである。返答の九割九分は「こだわりはありません。安く手に入って動けばいいです」である。別段、思い入れはないようだ。たしかに土地利用型の農業への新規参入はまれで、どちらかというと施設園芸や畜産などを目指す事例が多い。トラクターへの依存度の少ない農業形態だからという理由は想像できるが、こだわりを持たない理由はそれだけだろうか。
そういえば、同じくトラクターに「こだわりはない」と回答する人たちがいる。婿さん就農者や女性農業者である。我が家でも妻がトラクター作業をそこそこやってくれるようになったが、彼女も作業ができればどのトラクターでも構わないという答えだった。

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