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特集

ポスト「減反廃止」戦略 水田経営のこれから

1970年から続いてきた「減反」が、2018年いよいよ廃止される。この政策は長いあいだコメづくりの在り方を大きく規定してきた。水田農業の枠を越え、日本農業を大きく歪めてきたといえる。しかし、「減反廃止」の中身については不明な点も残されている。「補助金バラマキ農政」が今後も継続される可能性もある。そんななかで、これからの水田経営を考えてみた。

PART1
減反政策の「これまで」と「これから」
「減反廃止」だけでは問題は解消しない

減反政策は完全廃止されるわけではない。生産数量目標はなくなっても、水田から転作したときに出される交付金は継続が予定されている。この米価維持政策は、まっとうな農業経営、生産者の自立を削いできた。財政負担の面でも消費者利益の面でも弊害が明らかになってきている。 (文/窪田新之助)

【「減反廃止」の中身】

平成30年以降のコメ政策はどうなるのか。とりわけ「減反廃止」の中身はどうなるのか。まずは農林水産省の見解がどうなっているのか、押さえておきたい。
政府が2018年での減反政策の廃止を正式に決定したのは13年11月26日、安倍晋三首相を本部長とする「農林水産業・地域の活力創造本部」において。この日、同本部が決定したことは二つある。ひとつは、都道府県に毎年配分する「生産数量目標」をなくすこと。それから「コメの直接支払交付金」の交付金をなくすこと。
農林水産省によると、「生産数量目標」というのは「コメの需給に基づいて」(穀物課) 毎年算定するものである。都道府県における過去6年のうち最多と最小を除く4年分の販売実績に応じて、それぞれにトン数とそれを面積換算した値を割り振っている。
それから「コメの直接支払交付金」については、現状で10a当たり7500円支払っている分をゼロにする。この交付金は減反に協力しないと支払われないため、これまた需給調整に一役買っている。
この交付金が始まったのは民主党政権時代の農業者戸別所得補償制度において。当初の支払額は10a当たり1万5000円。自民党政権に戻った初年度はこの金額で継続された。ただ、その後14年からは減反廃止までの経過措置として半額の7500円となっている。
ちなみに生産数量目標がなくなると、需給の実態がわかりにくくなり、生産計画を立てにくくなるという懸念が産地には広がっている。そこで農林水産省は次の二つについても継続するつもりだ。
ひとつは相対取引の価格や数量、民間在庫などの実態を伝えるため毎月発行している「米に関するマンスリーレポート」。もうひとつは、都道府県ごとに飼料用米の作付けの計画面積を一覧にした「中間的な取組状況」。15年から公表されるようになった後者については後ほど詳しく述べる。

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