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特集

ポスト「減反廃止」戦略 水田経営のこれから


農協のビジネスを政治家に頼らない形に変えていくことが、間接的な方法として農政を変えることにもなるはず。それにはやっぱりビジネスとして農協もリスクを取らないと。いまだに運命共同体とか社会主義的な思想で組合員を縛ろうとしているから問題なんですね。
それには、まず農協は自分たちのビジネスモデルが完全に古いことに気付かないといけない。農協が組合員を引きつけるためにすべきは、補助金をうまく利用するのではなく、いかにリスクを取って農家に利益を還元していくか。そういう本来の農業協同組合としての姿に戻っていくことが政治を変えていくことになるでしょう。
昆 とはいえ農協はこれまで何かあるたびに自己改革を宣言してきたけれども、大したことはありませんでした。それであれば、今回も農協に自己改革は期待できない気もします。その意味合いで政府が推している株式会社化が進めば、もっと変革が起きるかもしれない。
本間 ただ、世界の流れを見ると、たとえばヨーロッパもカナダも農協ないし農協の全国組織が株式会社化して、ほかの資本から乗っ取られたりしている。それはそれで効率化している。その延長でいうと、ビジネスモデルでリスクを取って、もっともっと儲かるようになったら、もっともっと資本が入ってくるし、変わってくる。その観点からすると、全農改革が今後の行く末を占うといえると思います。
昆 海外では農協の株式会社化はよくあるんですか。
本間 そうですね。初めは出資を株に変えて、その持ち主は組合員だけにする。そのうちだんだんとほかの事業が出てきたり、持っている株を高く買ってくれるところがあったら、農家は当然売りたくなる。そうすると農家の間から譲渡制限なんてやめろといった話が出てくる。それは組合員のなかで決めればいいんです。定款で株式の譲渡制限を取っ払ってしまえば、俺の株が3倍で売れたという話になって本格的な株式会社化が進んでいく。
昆 ニュージーランドのフォンテラは?
本間 あそこはまだ組合ですね。たとえば、カナダの4農協が株式会社化したり、オーストラリアの小麦輸出組合(AWB)なんかも株式会社になっています。海外のように全農も株式会社化していくとなると、変わっていくと思うんですね。規制改革会議として我々が提案したのは、譲渡制限はつけますということ。ただ単協やそのほかの農協団体が上場できるようになっていったら、棚ぼた式の銭が入るから、譲渡制限はすぐに吹っ飛ぶはずです。そのときにどういうビジネス展開をするかということが議論されるようになり、全農は初めて三菱商事や丸紅と戦うような組織になっていくでしょう。それから農林中金も最後に残った特殊銀行ですから、遅かれ早かれ組織改革の話が出てくると思う。

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